腸回転異常症
概要
腸回転異常症は、胎生期に腸管の回転・固定過程が障害されることで発生する先天性の消化管異常である。新生児や乳児期に腸閉塞や腸管壊死をきたすことが多く、緊急手術を要する場合がある。発症時期や重症度は多様で、診断・治療の迅速性が予後に直結する。
要点
- 胎生期の腸管回転・固定異常による先天性疾患
- 腸閉塞や腸管壊死を呈しやすく、緊急手術が必要なことが多い
- 画像診断が重要で、早期発見・治療が予後改善の鍵となる
病態・原因
胎児期に腸管が正常な270度の回転・固定を行わず、異常な位置・走行となることで発症する。これにより腸管のねじれ(軸捻転)や血流障害が生じやすくなる。主なリスク因子は先天性の発育異常であり、他の消化管奇形を合併することもある。
主症状・身体所見
新生児期には胆汁性嘔吐、腹部膨満、排便異常(便秘や無排便)が典型的である。進行すると腸管壊死や腹膜炎症状(腹痛、腹膜刺激症状)を呈する。乳児期以降は慢性的な消化管症状や成長障害のみの場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部単純X線 | 腸管ガス像の異常、二重泡サインなど | 腸閉塞の有無を評価 |
| 上部消化管造影 | 十二指腸の位置異常、コルクスクリューサイン | 回転異常の確定診断に有用 |
| 腹部超音波 | 腸管の走行異常、血流障害の有無 | 緊急時や小児で有用 |
上部消化管造影が診断のゴールドスタンダードであり、十二指腸の位置異常やコルクスクリューサインが特徴的。腹部超音波では腸管の位置や血流障害の有無を迅速に評価できる。腹部X線は腸閉塞や穿孔のスクリーニングに用いられる。
治療
- 第一選択:Ladd手術(異常索切除・腸管整復・固定)
- 補助療法:輸液・電解質補正、感染対策、術前安静
- 注意点:腸管壊死例では腸切除が必要となる場合がある
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腸重積症 | 触知腫瘤・血便・間欠的激しい腹痛 | 超音波でドーナツサイン |
| 先天性小腸閉鎖症 | 生直後からの胆汁性嘔吐・無排便 | 造影で閉塞部位明瞭 |
| Hirschsprung病 | 遅発性胎便排泄・持続的便秘 | 直腸生検で神経節細胞欠如 |
補足事項
腸回転異常症は他の消化管奇形(Meckel憩室、十二指腸閉鎖症など)を合併することがあるため、術中の全消化管評価が重要となる。成人発症例も稀に存在し、慢性的な消化器症状の原因となる場合がある。