腎乳頭壊死
概要
腎乳頭壊死は腎臓の乳頭部が虚血や壊死に陥る病態であり、主に基礎疾患や薬剤、感染症が誘因となる。急性腎障害や血尿、尿路閉塞など多彩な臨床像を呈する。糖尿病や鎮痛薬の長期使用がリスク因子として重要である。
要点
- 糖尿病や鎮痛薬の長期使用が主なリスク因子
- 急性腎障害や血尿、尿路閉塞をきたす
- 画像診断と尿検査が診断に有用
病態・原因
腎乳頭壊死は、腎髄質の血流障害により乳頭部が虚血・壊死に至る疾患である。主なリスク因子は糖尿病、鎮痛薬(特にNSAIDs)の長期使用、尿路感染症、腎盂腎炎、腎尿路結石などが挙げられる。
主症状・身体所見
血尿、腰背部痛、発熱、排尿時痛などがみられる。尿路閉塞を伴う場合は急性腎障害や無尿も生じることがある。腎盂腎炎の合併時には全身症状が強くなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 血尿、白血球、円柱 | 尿沈渣で壊死組織を認めることも |
| 画像検査 | CTで乳頭部の低吸収域、壊死像 | 造影CTやIVPが有用 |
| 血液検査 | 炎症反応、腎機能障害 | 感染や腎障害の評価 |
診断は臨床症状と尿検査、画像所見(造影CTやIVPで乳頭部の壊死像や断裂像)を組み合わせて行う。尿中に壊死乳頭片が認められることもある。
治療
- 第一選択:基礎疾患の治療と感染対策(抗菌薬投与)
- 補助療法:水分管理、腎機能モニタリング、疼痛管理
- 注意点:尿路閉塞時は外科的処置やドレナージを検討、再発予防のためリスク因子の除去
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性腎盂腎炎 | 発熱・腰痛・膿尿が主、壊死像はない | 画像で乳頭壊死なし |
| 腎梗塞 | 突然の激しい腰痛・血尿、梗塞像を認める | 造影CTで楔状低吸収域 |
| 腎結石 | 疼痛発作と血尿、壊死像はない | 画像で結石・水腎症 |
補足事項
鎮痛薬腎症の一環として発症することが多く、慢性腎障害への進展例もある。糖尿病患者では無症候性のこともあり、注意深い経過観察が必要である。