腎皮質壊死
概要
腎皮質壊死は腎臓の皮質部分が広範囲に壊死する重篤な病態で、主に急激な循環障害や播種性血管内凝固(DIC)により発症する。産科的合併症や重症敗血症などが主な原因となり、急性腎不全の一形態として扱われる。
要点
- 急性腎不全の中でも予後不良な重症型
- 産科的合併症やDICが主な原因
- 治療は支持療法と腎代替療法が中心
病態・原因
腎皮質の広範な虚血により組織壊死が生じる。原因は主にDIC、産科的ショック(常位胎盤早期剥離や羊水塞栓症)、重症敗血症、重度の低血圧などが挙げられる。腎皮質の血流が障害されることで急速に発症する。
主症状・身体所見
乏尿または無尿を伴う急性腎不全が主症状で、全身性のショック症状やDICの徴候を伴うことが多い。進行例では尿毒症症状や意識障害もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腎機能検査 | クレアチニン・BUN著明上昇、尿量減少 | 急性腎不全の所見 |
| 画像検査(CT, MRI) | 腎皮質の造影不良、皮質と髄質の境界明瞭化 | 特徴的な画像所見 |
| 尿検査 | 血尿、蛋白尿、円柱尿 | 腎実質障害を示唆 |
診断は急性腎不全の経過、DICやショックの背景、画像検査での腎皮質造影不良所見などを総合して行う。腎生検で壊死の証明を行うこともあるが、臨床的診断が主となる。
治療
- 第一選択:腎代替療法(血液透析、持続的血液濾過透析)
- 補助療法:循環管理、DIC治療、感染症対策
- 注意点:早期対応と原疾患治療が予後を左右する
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性尿細管壊死 | 皮質壊死より予後良好、ショック歴少なめ | 画像で皮質と髄質の境界不明瞭 |
| 腎梗塞 | 局所的な腎虚血、疼痛が強い | 造影CTで限局性の低吸収域 |
| 腎乳頭壊死 | 糖尿病や鎌状赤血球症が背景 | 乳頭部の壊死、排出された乳頭認める |
補足事項
腎皮質壊死は予後不良で不可逆性となることが多い。産科的DICや重症敗血症の早期治療が発症予防に重要である。腎機能の回復は期待しにくく、長期の腎代替療法が必要となる場合が多い。