脳膿瘍
概要
脳膿瘍は脳実質内に限局性に膿瘍(膿の貯留)が形成される感染症である。主に細菌感染が原因で、頭蓋内圧亢進や神経症状を呈することが多い。早期診断と適切な治療が予後改善に重要となる。
要点
- 脳実質内に膿瘍が形成される
- 原因は細菌感染が多く、重篤な経過をとる
- 画像診断と外科的治療が重要
病態・原因
脳膿瘍は副鼻腔炎、中耳炎、歯性感染、外傷、血行性感染などを契機に、細菌(特に嫌気性菌や連鎖球菌、黄色ブドウ球菌など)が脳実質に到達し、炎症性肉芽組織で囲まれた膿瘍を形成する。免疫不全や慢性疾患もリスク因子となる。
主症状・身体所見
発熱、頭痛、意識障害、けいれん、局所神経症状(片麻痺、失語など)、嘔吐などがみられる。頭蓋内圧亢進症状や髄膜刺激症状を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部CT・MRI | 輪状増強効果を伴う腫瘤性病変 | 造影MRIが最も感度高い |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP・白血球増多) | 髄液検査は原則禁忌 |
| 膿瘍穿刺・培養 | 起炎菌の同定 | 抗菌薬前に実施が望ましい |
画像診断では造影CT/MRIで被膜形成と中心壊死を示す輪状増強像が特徴的。髄液検査は脳ヘルニア誘発の危険があるため禁忌。確定診断には穿刺・培養による起炎菌同定が有用。
治療
- 第一選択:広域抗菌薬投与(カルバペネム系+バンコマイシン等)と外科的ドレナージ
- 補助療法:頭蓋内圧降下薬、抗けいれん薬、支持療法
- 注意点:抗菌薬は培養結果で調整し、治療期間は6週間以上が基本
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脳腫瘍 | 発熱・炎症所見に乏しい | MRIで被膜形成や膿瘍中心壊死なし |
| 脳梗塞 | 急性発症・膿瘍形成なし | DWIで高信号、造影効果に乏しい |
| 脳膿瘍 | 発熱・炎症反応あり、輪状増強 | 輪状増強像・膿瘍中心壊死あり |
補足事項
治療開始の遅れや免疫不全症例では予後不良となる。抗菌薬治療中も画像で縮小を確認し、再発や合併症(脳ヘルニア、髄膜炎)に注意する必要がある。