転移性脳腫瘍
概要
転移性脳腫瘍は、他臓器の悪性腫瘍が血行性に脳実質へ転移して発生する腫瘍である。原発巣は肺癌や乳癌、消化器癌などが多い。成人の脳腫瘍の中で最も頻度が高い転移性腫瘍である。
要点
- 他臓器の悪性腫瘍からの転移が原因
- 原発巣の治療状況や全身状態が予後に影響
- 画像診断と病理検査が診断の中心
病態・原因
転移性脳腫瘍は、主に肺癌・乳癌・消化器癌などの悪性腫瘍が血流を介して脳に転移することで発生する。脳実質への多発性病変が多く、免疫低下や原発癌の進行がリスク因子となる。
主症状・身体所見
頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、けいれん、局所神経症状(片麻痺、失語など)がみられる。病変部位によって症状は多彩で、急速な症状進行が特徴である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 境界明瞭なリング状増強病変、多発性が多い | T1造影で病変強調 |
| 頭部CT | 増強効果を伴う腫瘤、浮腫を伴うことが多い | 緊急時や初期評価に有用 |
| 病理組織検査 | 原発癌に類似した組織像 | 原発巣特定の参考となる |
MRIは診断に最も有用で、造影剤投与下でリング状増強や周囲の脳浮腫が特徴的。原発巣の検索や全身評価も重要である。確定診断には生検や手術による組織診断が必要なこともある。
治療
- 第一選択:全脳照射・定位放射線治療・手術摘出(症例に応じて選択)
- 補助療法:ステロイド投与による脳浮腫軽減、抗てんかん薬投与
- 注意点:原発巣のコントロールや全身状態の評価が不可欠
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膠芽腫 | 単発・浸潤性、蝶形腫瘍形成 | MRIで不規則な増強像 |
| 脳膿瘍 | 感染徴候や炎症反応上昇 | 拡散強調像で高信号 |
| 原発性脳リンパ腫 | 免疫不全例に多い、深部病変が多い | T2で等~低信号 |
補足事項
転移性脳腫瘍は原発癌の診断契機となることも多い。近年では定位放射線治療や分子標的薬の進歩により治療選択肢が増加している。