胆囊捻転症

概要

胆囊捻転症は胆囊がその支持組織の弛緩や解剖学的異常により軸方向に捻転し、血流障害や胆嚢壊死を引き起こす急性腹症である。高齢女性に多く発症し、迅速な外科的対応が必要となる。胆石症や胆囊炎とは異なる病態を呈する点が特徴である。

要点

  • 胆囊の軸捻転による血流障害と壊死が主病態
  • 高齢女性や痩せ型、遊走性胆囊がリスク因子
  • 早期診断・緊急手術が予後改善に必須

病態・原因

胆囊の支持組織(間膜や肝床)弛緩や先天的な解剖異常により、胆囊が軸方向に回転し血管・胆管がねじれることで血流障害が生じる。高齢女性や痩せ型、遊走性胆囊、脊柱変形などがリスク因子となる。

主症状・身体所見

突然発症の右上腹部痛、悪心・嘔吐、圧痛や筋性防御などの腹膜刺激症状がみられる。しばしば発熱やショック症状を呈し、進行すると壊死や穿孔に至る。

検査・診断

検査所見補足
腹部超音波胆囊腫大、壁肥厚、血流低下胆囊の位置異常や軸捻転の所見も
腹部CT/MRI胆囊の位置逸脱、捻転像渦巻き状の血管構造(whirl sign)など

画像検査で胆囊の異常な位置や捻転、血流障害を確認する。診断は臨床症状と画像所見を総合して行い、whirl signや胆囊の浮遊所見が診断的意義を持つ。

治療

  • 第一選択:緊急胆囊摘出術
  • 補助療法:輸液・抗菌薬投与、ショック対策
  • 注意点:早期手術が予後改善に重要、穿孔・壊死例では速やかなドレナージも検討

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性胆囊炎徐々に増悪する痛み、Murphy徴候陽性胆石や胆嚢壁肥厚、血流保持
胆石症疼痛発作性、無症候例あり胆石の有無、胆囊捻転像なし
絞扼性イレウス腹部膨満、排ガス・排便停止腸管拡張や液体貯留像

補足事項

胆囊捻転症は稀な疾患であり、非典型例では診断が難しい。高齢女性の急性腹症では本症も鑑別に加えるべきである。術前診断率は低いが、近年は画像診断の進歩で早期発見例が増加している。

関連疾患