肺吸虫症
概要
肺吸虫症はParagonimus属の吸虫による寄生虫感染症で、主に肺に病変を形成する。生食した淡水産甲殻類(カニやザリガニ)を介して感染し、慢性の咳嗽や血痰を呈することが多い。日本を含むアジアや中南米など世界各地で報告がある。
要点
- 淡水産甲殻類の生食が主な感染経路
- 慢性的な咳嗽・血痰・胸痛を主体とする
- 画像・喀痰・血清学的検査で診断
病態・原因
肺吸虫(Paragonimus westermaniなど)のメタセルカリアが消化管から体内に侵入し、横隔膜を通過して肺実質に寄生する。感染源は主に淡水産のカニやザリガニの生食であり、寄生虫卵の摂取が発症のリスクとなる。
主症状・身体所見
慢性の咳嗽、血痰、胸痛が特徴で、時に発熱や呼吸困難を伴う。胸部聴診でラ音を認めることもある。重症例では胸水貯留や気胸を来すことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線/CT | 肺野の結節影、空洞、線状影、胸水など | 慢性経過で多彩な変化 |
| 喀痰・便検査 | 肺吸虫卵の検出 | 繰り返し検査が有用 |
| 血清抗体検査 | 抗Paragonimus抗体陽性 | 急性期・慢性期ともに有用 |
画像では空洞形成や胸水など多様な陰影を呈し、喀痰や便中の虫卵検出が診断の決め手となる。血清抗体検査も補助的に用いられる。
治療
- 第一選択:プラジカンテル内服
- 補助療法:対症療法(鎮咳薬、胸水管理など)
- 注意点:再感染予防のため生食習慣の指導
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺結核症 | 発熱・体重減少・夜間発汗が目立つ | 喀痰塗抹・培養で結核菌 |
| 肺膿瘍 | 高熱・膿性痰・悪臭 | 画像で液体貯留空洞 |
| 肺癌 | 高齢・喫煙歴・進行性 | 画像・細胞診で腫瘍検出 |
補足事項
日本では近年減少傾向だが、海外旅行や輸入食品の普及で散発例がみられる。肺以外の異所性寄生(脳、皮下など)も稀に報告されるため注意を要する。