肘関節脱臼
概要
肘関節脱臼は、上腕骨と前腕骨(橈骨・尺骨)間の関節が正常な位置関係を失う外傷性疾患である。多くは転倒やスポーツ外傷などの高エネルギー外力により発生し、小児から成人まで幅広い年齢層でみられる。適切な整復と後療法が重要となる。
要点
- 肘関節の安定性喪失による機能障害が主徴
- 骨折や神経・血管損傷を合併しやすい
- 早期整復とリハビリテーションが予後を左右する
病態・原因
主に転倒時に手をついて肘に過伸展外力が加わることで発生する。スポーツや交通事故など高エネルギー外傷が原因となることが多い。靭帯損傷や関節包断裂を伴うことが多い。
主症状・身体所見
肘の変形、激しい疼痛、可動域制限が特徴的である。腫脹や皮下出血、神経(特に尺骨神経)障害、血管損傷の有無も重要な身体所見となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線検査 | 関節の不整合・骨折の有無 | 脱臼方向や合併骨折評価 |
| 身体診察 | 変形・可動域制限・腫脹 | 神経・血管障害の有無確認 |
| CT/MRI | 複雑例で靭帯損傷評価 | 骨片や軟部組織損傷の精査 |
X線で脱臼方向(後方脱臼が最多)や合併骨折の有無を確認し、神経・血管障害の評価も必須。複雑例や再脱臼例ではCTやMRIによる詳細な損傷評価を行う。
治療
- 第一選択:徒手整復および後療法(固定→可動域訓練)
- 補助療法:鎮痛、腫脹管理、理学療法によるリハビリ
- 注意点:神経・血管損傷や再脱臼・可動域制限の早期発見
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肘内障 | 小児に多い、前腕回内で疼痛 | X線で脱臼なし |
| 上腕骨顆上骨折 | 小児、明らかな骨折線・腫脹 | X線で骨折線を認める |
| 橈骨頭骨折 | 前腕回旋時の疼痛、腫脹 | X線で橈骨頭の骨折像 |
補足事項
脱臼後の長期固定は関節拘縮のリスクが高いため、安定性が得られ次第早期の可動域訓練が重要となる。再発や神経障害残存例では手術的治療も検討される。