総動脈幹症
概要
総動脈幹症は、心臓から出る大動脈と肺動脈が1本の血管(総動脈幹)として存在する先天性心疾患。出生直後からチアノーゼや心不全を呈し、未治療の場合は早期に致命的となる。早期診断と外科的治療が不可欠である。
要点
- 大動脈と肺動脈が分離せず1本の血管として心臓から出る
- 新生児期からチアノーゼや心不全症状を呈する
- 根治には早期の外科的手術が必要
病態・原因
胎生期の心臓発生異常により、動脈幹中隔の形成が障害されることで発症する。これにより大動脈と肺動脈が分離せず、心室中隔欠損を伴うことが多い。21番染色体異常や22q11.2欠失症候群など遺伝的素因も関与する。
主症状・身体所見
出生直後からのチアノーゼ、呼吸困難、哺乳不良、発育不良などが主症状。心雑音や心不全徴候(頻呼吸、肝腫大、浮腫)がみられる。肺うっ血による呼吸器症状も出現しやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 心エコー | 大動脈と肺動脈が1本の総動脈幹から分岐 | 心室中隔欠損の合併も確認 |
| 胸部X線 | 心拡大・肺血管影増強 | 肺うっ血の評価 |
| 心臓カテーテル | 動脈血酸素分圧の低下、肺高血圧の評価 | 解剖学的詳細把握に有用 |
心エコーが診断の中心であり、総動脈幹の存在や肺動脈分岐、心室中隔欠損の有無を確認する。心臓カテーテルは手術前の詳細評価や肺高血圧の程度判定に用いる。
治療
- 第一選択:新生児期または乳児期早期の外科的修復術(総動脈幹分割と右室-肺動脈導管設置)
- 補助療法:心不全に対する薬物療法(利尿薬、強心薬など)、酸素投与
- 注意点:手術前後の感染予防、肺高血圧の管理と長期フォローアップ
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 完全大血管転位症 | 大動脈と肺動脈が左右逆に起始 | 心エコーで走行異常 |
| Fallot四徴症 | 肺動脈狭窄と右室肥大を伴う | 肺血流低下・心室中隔欠損 |
| 心室中隔欠損症 | 肺動脈・大動脈は正常に分離 | エコーで血流短絡のみ |
補足事項
22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)との合併が多く、術前に染色体検査が推奨される。術後は導管の再置換や肺高血圧管理など長期的なフォローが必要となる。