糖原病Ⅴ型
概要
糖原病Ⅴ型(McArdle病)は、筋ホスホリラーゼ(筋型グリコーゲンホスホリラーゼ)欠損による常染色体劣性遺伝疾患である。筋グリコーゲンの分解障害により、運動時の筋無力や筋肉痛、ミオグロビン尿などを呈する。小児期から成人期まで幅広い年齢で発症がみられる。
要点
- 筋ホスホリラーゼ欠損による筋グリコーゲン分解障害
- 労作時の筋痛・筋無力・ミオグロビン尿が特徴
- 常染色体劣性遺伝形式で発症する
病態・原因
筋型グリコーゲンホスホリラーゼ(PYGM遺伝子)の先天的欠損により、筋細胞でのグリコーゲン分解が障害される。これにより運動時のエネルギー産生が不十分となり、筋細胞障害や筋融解が生じる。常染色体劣性遺伝で遺伝する。
主症状・身体所見
運動時の筋肉痛、筋無力、易疲労感が主症状であり、激しい運動後にミオグロビン尿(赤褐色尿)がみられることがある。運動後の筋硬直やこむら返りも特徴的で、長時間の運動や無酸素運動で顕著となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清CK値 | 上昇 | 筋融解時に高値となる |
| 筋生検 | グリコーゲン沈着・ホスホリラーゼ活性低下 | 診断の決め手 |
| 遺伝子検査 | PYGM遺伝子変異 | 確定診断に有用 |
筋生検で筋型ホスホリラーゼ活性の低下やグリコーゲンの沈着が認められる。遺伝子検査でPYGM遺伝子異常を確認することで確定診断となる。運動負荷試験で典型的な反応(second wind現象)がみられることがある。
治療
- 第一選択:特異的治療法なし、運動制限と自己管理
- 補助療法:高蛋白食や中鎖脂肪酸摂取、適度な有酸素運動
- 注意点:激しい運動の回避、ミオグロビン尿時の腎障害予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 糖原病Ⅶ型 | 解糖系酵素(PFK)欠損、溶血性貧血合併 | 筋生検でPFK活性低下 |
| Duchenne型筋ジストロフィー | 進行性筋力低下、CK高値、遺伝形式の違い | 筋生検でジストロフィン欠損 |
補足事項
second wind現象(運動継続で症状が軽減する現象)が特徴的で、診断の参考となる。重篤なミオグロビン尿による腎障害に注意する必要がある。