発作性寒冷血色素尿症
概要
発作性寒冷血色素尿症は、寒冷曝露後に急性の溶血発作と血色素尿をきたす後天性の溶血性貧血。パルボウイルスB19などの感染後に発症しやすく、特に小児に多い。Donath-Landsteiner抗体による補体介在性溶血が特徴。
要点
- 寒冷暴露後に急性溶血と血色素尿を呈する
- Donath-Landsteiner抗体による自己免疫性溶血
- 小児のウイルス感染後に好発
病態・原因
発作性寒冷血色素尿症は、Donath-Landsteiner抗体(寒冷時に赤血球に結合し、温度上昇で補体活性化・溶血を引き起こすIgG抗体)が原因となる。多くはパルボウイルスB19などの感染後に発症し、自己免疫反応が誘発される。
主症状・身体所見
寒冷曝露後数時間以内に悪寒、発熱、腰背部痛、血色素尿(赤褐色尿)が出現する。重症例では黄疸や貧血症状がみられる。皮膚蒼白や頻脈など急性溶血の所見にも注意。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 血色素尿 | ミオグロビン陰性、赤血球なし |
| 直接クームス試験 | 補体(C3d)陽性 | Donath-Landsteiner抗体の存在 |
| 血液検査 | 溶血性貧血所見 | Hb低下、LDH↑、間接ビリルビン↑ |
| Donath-Landsteiner試験 | 溶血陽性 | 寒冷→37℃加温で溶血確認 |
診断は臨床症状とDonath-Landsteiner試験による寒冷依存性溶血の証明が必須。直接クームス試験は補体のみ陽性となる点が特徴的。
治療
- 第一選択:寒冷曝露の回避、保温
- 補助療法:重症例では輸血、支持療法
- 注意点:感染症治療、不要な寒冷暴露を避ける
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 寒冷凝集素症 | IgM抗体、慢性経過、レイノー現象 | クームス試験でIgM・C3d陽性 |
| 発作性夜間ヘモグロビン尿症 | 補体感受性赤血球、夜間溶血 | CD55, CD59欠損、Ham試験陽性 |
補足事項
成人例は稀であり、ほとんどが小児に発症する。予後は良好だが、重度溶血時には腎障害やショックに注意が必要。Donath-Landsteiner抗体は一過性で自然消失することが多い。