癒着性中耳炎
概要
癒着性中耳炎は、鼓膜や中耳腔粘膜が瘢痕化し、鼓膜の陥凹や中耳腔の構造が癒着・固定される慢性中耳炎の一型である。鼓膜の可動性低下や伝音難聴が主な特徴で、耳小骨の可動性障害も伴うことが多い。
要点
- 鼓膜と中耳腔の癒着による伝音難聴が主症状
- 慢性中耳炎や滲出性中耳炎の遷延後に発症しやすい
- 手術的治療が必要となる場合が多い
病態・原因
慢性中耳炎や滲出性中耳炎の長期化により、鼓膜や中耳腔粘膜が炎症後に瘢痕化し、鼓膜の陥凹や耳小骨との癒着が生じる。反復する炎症や耳管機能不全、換気障害が発症リスクとなる。
主症状・身体所見
伝音難聴が最も多くみられ、耳閉感や軽度の耳漏を伴うこともある。鼓膜の陥凹や肥厚、鼓膜の動きの著しい低下が診察で確認される。耳小骨の可動性障害も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 耳鏡・顕微鏡検査 | 鼓膜の陥凹、肥厚、可動性の低下 | 癒着部の視認が可能 |
| 聴力検査 | 伝音難聴(気骨導差の拡大) | 骨導は保たれることが多い |
| ティンパノメトリー | 平坦型または極端な低コンプライアンス | 鼓膜の可動性評価に有用 |
鼓膜の形態異常や可動性低下、伝音難聴の存在により診断する。画像検査(CT)では中耳腔の癒着や骨構造の変化を評価できる。
治療
- 第一選択:鼓室形成術などの手術療法
- 補助療法:耳管機能訓練、感染予防、聴覚リハビリテーション
- 注意点:再癒着や再発予防のため術後管理が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 滲出性中耳炎 | 鼓膜の陥凹は軽度、液体貯留が主体 | ティンパノメトリーでB型パターン |
| 真珠腫性中耳炎 | 鼓膜穿孔や真珠腫性塊の形成 | CTで骨破壊や腫瘤を認める |
| 慢性中耳炎 | 鼓膜穿孔が主体、癒着は目立たない | 穿孔部からの耳漏が特徴 |
補足事項
癒着性中耳炎は再発しやすく、特に耳管機能不全の改善が治療成績向上に不可欠である。早期発見・治療介入が聴力予後の改善につながる。