特発性副甲状腺機能低下症
概要
特発性副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が低下し、主に低カルシウム血症を来す疾患。遺伝的要因や自己免疫機序が原因となることが多く、慢性経過をとる。小児から成人まで幅広い年齢層で発症しうる。
要点
- 副甲状腺ホルモン分泌低下により低カルシウム血症を呈する
- テタニーや痙攣、精神症状など多彩な神経症状が出現
- 慢性経過では白内障や石灰化などの合併症も問題となる
病態・原因
副甲状腺の発生異常や自己免疫性破壊、まれに遺伝子異常によるPTH分泌障害が主な原因である。外科的切除や放射線治療の既往がなく、明らかな続発性要因を認めない場合に特発性と診断される。
主症状・身体所見
低カルシウム血症に伴うテタニー(筋痙攣)、しびれ、けいれん、精神症状(不安・うつ状態)、Chvostek徴候やTrousseau徴候などの神経過敏症状がみられる。慢性例では白内障、基底核石灰化、歯牙異常なども認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清カルシウム | 低値 | 低カルシウム血症が基本 |
| 血清PTH | 低値 | 原発性低下を示す |
| 血清リン | 高値 | PTH低下により再吸収低下 |
| 頭部CT | 基底核石灰化 | 慢性例で特徴的 |
血清カルシウムの低下と血清PTHの低値が診断の中心となる。血清リンは高値となりやすく、慢性経過例では頭部CTで基底核石灰化がみられる。副甲状腺摘出や薬剤性など二次性要因が除外されることが重要。
治療
- 第一選択:活性型ビタミンD製剤とカルシウム製剤の内服
- 補助療法:低カルシウム血症急性期には静注カルシウム投与
- 注意点:過量投与による高カルシウム血症や腎結石の予防が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 偽性副甲状腺機能低下症 | PTH高値・標的臓器の抵抗性 | PTH高値、骨異常 |
| 低マグネシウム血症 | マグネシウム低値・PTH分泌障害 | マグネシウム低値 |
補足事項
特発性副甲状腺機能低下症は慢性経過例での合併症管理が重要であり、定期的な血清カルシウム・リンのモニタリングが推奨される。遺伝性の場合、家族歴や遺伝子検査が診断の補助となる。