熱傷ショック
概要
熱傷ショックは広範な熱傷により循環血液量が著減し、組織灌流不全と多臓器障害を引き起こすショック状態である。主に血漿成分の漏出と血管透過性亢進が原因となる。初期治療の遅れは致命的となるため、迅速な対応が必要である。
要点
- 広範な熱傷で循環血液量が急激に減少する
- 早期の輸液開始が予後を大きく左右する
- 多臓器不全やDICのリスクが高い
病態・原因
熱傷ショックは、熱傷による血管透過性亢進や血漿成分の漏出、組織間液への急速な移行により循環血液量が減少し発症する。重症熱傷(体表面積20%以上)で特にリスクが高く、また炎症性サイトカインの放出も関与する。
主症状・身体所見
低血圧、頻脈、四肢冷感、尿量減少、意識障害などがみられる。皮膚の広範な発赤・水疱・壊死とともに、ショック徴候(四肢冷感・チアノーゼ・脈拍触知困難)が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | ヘマトクリット上昇、電解質異常 | 脱水・循環血漿量減少を反映 |
| 尿量測定 | 0.5mL/kg/hr未満 | 腎血流低下の指標 |
| 動脈血ガス | 代謝性アシドーシス | 組織低灌流を示唆 |
ショック指数(脈拍/収縮期血圧)や尿量の持続的低下が診断の参考となる。熱傷面積・深度の評価も重要で、パークランド式などで輸液量を算出する。
治療
- 第一選択:早期大量輸液(乳酸リンゲル液など)
- 補助療法:疼痛管理・酸素投与・感染予防・創傷管理
- 注意点:過剰輸液による肺水腫やコンパートメント症候群に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 循環血液量減少性ショック | 外傷・出血・脱水の既往 | 出血源や脱水の有無 |
| 敗血症性ショック | 発熱・感染巣、血圧低下持続 | 白血球増多、CRP高値、培養陽性 |
補足事項
熱傷面積が大きいほどショック発症率は高く、特に小児・高齢者では重症化しやすい。初期輸液量の過不足は致命的となるため、経時的なバイタル・尿量モニタリングが必須である。