温式自己免疫性溶血性貧血
概要
温式自己免疫性溶血性貧血は、自己抗体(主にIgG型)が体温付近(37℃)で赤血球膜に結合し、脾臓などで赤血球の破壊(溶血)を引き起こす疾患。二次性(基礎疾患合併)と特発性があり、成人に多い。慢性経過をとることが多く、再発や難治例もみられる。
要点
- IgG自己抗体が赤血球膜に結合し溶血を生じる
- 直接クームス試験陽性が診断の鍵
- ステロイド治療が第一選択
病態・原因
自己抗体(主にIgG)が赤血球膜抗原に結合し、脾臓での貪食による赤血球破壊を生じる。原因は特発性が多いが、全身性エリテマトーデスや悪性リンパ腫などの基礎疾患に続発することもある。薬剤誘発性もまれに存在する。
主症状・身体所見
貧血症状(易疲労感、動悸、息切れ)、黄疸、脾腫が主な所見。重症例では心不全徴候やショックを呈することもある。慢性経過例では皮膚蒼白や軽度の黄疸が目立つ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血液検査 | 正球性正色素性貧血、網赤血球増加 | 溶血所見:間接ビリルビン上昇、LDH上昇、ハプトグロビン低下 |
| 直接クームス試験 | 陽性 | IgG抗体付着の証明、診断に必須 |
| 骨髄検査 | 赤芽球系増生亢進 | 造血反応の亢進を示す |
直接クームス試験陽性が診断の決め手となる。溶血性貧血の臨床像と検査所見(網赤血球増加、間接ビリルビン上昇など)を併せて診断される。画像検査では脾腫の有無を確認することがある。
治療
- 第一選択:プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド投与
- 補助療法:輸血(重症例)、免疫抑制薬、リツキシマブ、脾摘(難治例)
- 注意点:感染症リスクや再発に注意、基礎疾患の精査・治療も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 寒冷凝集素症 | 寒冷曝露で溶血増悪、IgM抗体 | 直接クームス試験C3陽性、IgM抗体 |
| 遺伝性球状赤血球症 | 家族歴・球状赤血球・溶血 | クームス試験陰性、浸透圧脆弱性亢進 |
補足事項
温式AIHAは慢性・再発性の経過をとることが多く、基礎疾患の有無や治療反応性により予後が左右される。薬剤誘発性の場合は原因薬剤の中止が重要。リツキシマブや脾摘は難治例に適応される。