気道熱傷

概要

気道熱傷は、火災や高温ガスの吸引により気道粘膜が損傷される状態で、上気道から下気道まで広範囲に障害が及ぶことがある。急速な気道浮腫や閉塞をきたす危険が高く、早期の評価と対応が重要となる。全身熱傷と合併する場合は予後不良となることが多い。

要点

  • 火災や爆発事故による高温ガス・煙の吸引が主な原因
  • 急性の気道浮腫・閉塞による呼吸不全リスクが高い
  • 早期気道確保・全身管理が予後改善の鍵

病態・原因

気道熱傷は、火災現場などで高温の空気や煙、有害ガスを吸入することで気道粘膜が熱的・化学的損傷を受ける。損傷は鼻腔・咽頭から気管・気管支に至るまで広がり、浮腫や壊死、分泌物の増加による気道閉塞を引き起こす。併発する一酸化炭素中毒や全身熱傷も重篤化因子となる。

主症状・身体所見

嗄声、咳嗽、喘鳴、呼吸困難、顔面や口腔内の熱傷、すすの付着、口腔・咽頭粘膜の浮腫が特徴的。進行すると上気道閉塞や低酸素血症、意識障害を呈する。全身熱傷や一酸化炭素中毒の合併にも注意が必要。

検査・診断

検査所見補足
喉頭・気管支ファイバースコピー粘膜浮腫、発赤、びらん、壊死、すす付着直接観察が最も有用
胸部X線/CT肺野の浸潤影、気道狭窄、肺水腫進行例や合併症評価に有用
動脈血液ガス分析低酸素血症、COHb上昇一酸化炭素中毒の評価も重要

ファイバースコピーによる気道粘膜の直接観察が診断の決め手となる。画像検査で肺炎や気道狭窄、肺水腫の合併を評価し、動脈血液ガスで酸素化および一酸化炭素中毒の有無を確認する。

治療

  • 第一選択:早期気道確保(挿管)、酸素投与
  • 補助療法:気道吸引、吸入療法、全身管理(水分・電解質補正、感染予防)
  • 注意点:気道浮腫進行前の挿管、全身熱傷管理の同時進行

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
一酸化炭素中毒頭痛・めまい・意識障害が主、皮膚紅潮COHb高値、気道粘膜損傷なし
急性喉頭蓋炎高熱・嚥下痛・よだれ、進行早い咽頭ファイバーで蓋状部腫脹、熱傷既往なし
アナフィラキシー皮膚症状・全身症状が先行アレルゲン曝露歴、気道熱傷所見なし

補足事項

気道熱傷は進行性の気道浮腫が特徴で、観察中に急激な呼吸状態悪化をきたすことがある。現場での吸煙歴や顔面・口腔内熱傷の有無を必ず確認し、疑わしければ早期の気道確保を行う。小児や高齢者はさらに重篤化しやすい。

関連疾患