気道損傷
概要
気道損傷は外傷や医療行為によって気道(喉頭・気管・気管支)に生じる損傷であり、生命に直結する緊急疾患である。原因には鈍的・鋭的外傷、吸引や熱傷、医原性損傷などがある。早期診断と適切な気道確保が予後を大きく左右する。
要点
- 鈍的・鋭的外傷や医原性操作が主な原因となる
- 気道閉塞や皮下気腫、呼吸困難が重要な初期症状
- 迅速な診断・気道確保と外科的対応が必要
病態・原因
気道損傷は交通外傷、転落、絞扼、刺創などの外的要因や、挿管・気管切開など医療手技によって発生する。高エネルギー外傷では頸部や胸部に大きな力が加わることで気道壁が断裂・穿孔する。熱傷や吸引による損傷も含まれる。
主症状・身体所見
呼吸困難、喘鳴、血痰、咳嗽、頸部や胸部の皮下気腫、嗄声、呼吸音の減弱などがみられる。重症例では急速な気道閉塞やショック、チアノーゼを呈することがある。外傷歴や急激な呼吸状態の悪化が診断の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頸部・胸部CT | 気道壁の断裂、皮下気腫、縦隔気腫、血腫 | 断裂部位や範囲の評価に有用 |
| 気管支鏡検査 | 粘膜損傷、断裂、出血、異物、血腫 | 直接損傷部位の観察・診断確定 |
CTで気道壁の連続性断裂や縦隔気腫、皮下気腫を確認する。気管支鏡で粘膜損傷や断裂部位を直接観察し診断を確定する。X線では皮下気腫や縦隔気腫が補助的にみられる。
治療
- 第一選択:気道確保(緊急時は気管切開や輪状甲状膜切開も考慮)、外科的修復
- 補助療法:酸素投与、鎮痛、抗生物質投与、全身管理
- 注意点:挿管困難例では無理な挿管を避け、緊急外科的気道確保を優先
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 気管・気管支損傷 | 頸部・胸部外傷歴、皮下気腫、血痰 | 気管支鏡で損傷部位の直接観察 |
| 気道熱傷 | 吸引・熱傷歴、嗄声、気道浮腫 | 喉頭鏡で浮腫・発赤を確認 |
補足事項
医原性損傷や多発外傷例では見逃されやすく、呼吸状態の変化や皮下気腫の進展に注意する。小児では気道が狭いため軽度の損傷でも重篤化しやすい。