早期胃癌
概要
早期胃癌は、胃癌のうち癌の浸潤が粘膜下層までにとどまるものを指し、リンパ節転移の有無を問わない。発見時に自覚症状が乏しいことが多く、内視鏡検査による早期発見が重要である。治療により高い治癒率が期待できる。
要点
- 癌の浸潤が粘膜下層までの胃癌
- 多くは無症状で内視鏡検診が有用
- 内視鏡的切除で根治可能例が多い
病態・原因
主なリスク因子はヘリコバクター・ピロリ感染、慢性萎縮性胃炎、食塩摂取過多、喫煙などが挙げられる。癌化は胃粘膜の慢性的炎症や遺伝的要因が関与し、粘膜内または粘膜下層までの浅い浸潤にとどまる。
主症状・身体所見
多くは無症状で、進行しても軽度の胃部不快感や食欲低下程度が多い。身体所見に乏しく、進行例で初めて貧血や体重減少がみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 粘膜のびらん、陥凹、隆起などの異常 | 色素内視鏡やNBIが有用 |
| 生検組織診断 | 腺癌細胞の証明 | 病理組織型・分化度を評価 |
| 腹部超音波・CT | 壁深達度やリンパ節腫大の評価 | 進展度の補助診断 |
診断は内視鏡所見と生検組織診断により行い、癌の深達度(粘膜内・粘膜下層)や広がりを評価する。内視鏡的超音波やCTでリンパ節転移や他臓器浸潤の有無も確認する。
治療
- 第一選択:内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
- 補助療法:適応外例や高リスク例では外科的胃切除術
- 注意点:適応基準遵守、術後の定期フォローアップ
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 胃潰瘍 | 潰瘍辺縁の不整・再発性 | 生検で癌細胞なし |
| 胃ポリープ | 隆起性・表面平滑 | 生検で良性所見 |
| 進行胃癌 | 壁硬化・潰瘍浸潤・症状明瞭 | 深達度・転移の有無 |
補足事項
近年は内視鏡治療の進歩により、より大きな病変や分化型癌にも適応が拡大している。治療後も再発や多発癌に注意が必要であり、長期的な内視鏡フォローが推奨される。