敗血症性ショック
概要
敗血症性ショックは、感染症による全身性炎症反応が原因で循環不全をきたし、組織灌流障害と多臓器不全を伴う重篤なショック状態。血圧低下に加え、適切な輸液にも反応しない循環不全が特徴となる。早期診断と迅速な治療介入が生命予後を大きく左右する。
要点
- 感染症に伴う全身炎症反応と血行動態異常が本態
- 低血圧と臓器低灌流が持続し、致死的となりうる
- 早期の抗菌薬投与と循環管理が治療の鍵
病態・原因
主に細菌感染(グラム陰性菌や陽性菌)が原因となり、エンドトキシンやサイトカインの過剰産生により血管拡張、血管透過性亢進、心機能低下が生じる。リスク因子には高齢、免疫抑制、基礎疾患(糖尿病・慢性腎臓病など)が挙げられる。
主症状・身体所見
高熱または低体温、頻脈、頻呼吸、意識障害、血圧低下が主な症状。皮膚は冷汗を伴い、四肢冷感やチアノーゼ、多臓器不全(腎不全、肝障害、意識障害など)が進行する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液培養 | 原因菌検出 | 早期採取が重要 |
| 血液ガス分析 | 乳酸上昇、代謝性アシドーシス | 組織低灌流の指標 |
| 血液検査 | 白血球増減、CRP・PCT上昇 | 炎症反応・感染の評価 |
| 画像検査 | 原因巣の特定 | CTや超音波などで感染巣探索 |
ショックの定義は、十分な輸液後も平均動脈圧65mmHg未満かつ乳酸値2mmol/L超が持続すること。感染巣の同定や臓器障害の有無も重要。
治療
- 第一選択:早期広域抗菌薬投与と十分な輸液
- 補助療法:昇圧薬(ノルアドレナリン)、感染巣ドレナージ、臓器サポート
- 注意点:過剰輸液の回避、早期の集中治療管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 循環血液量減少性ショック | 出血や脱水の明確な原因 | 血清乳酸値は低〜中等度 |
| 心原性ショック | 心筋梗塞・心不全の既往、胸痛 | 心エコーで心機能低下 |
| アナフィラキシーショック | アレルゲン曝露歴、蕁麻疹・気道症状 | 好酸球増多、IgE上昇 |
補足事項
重症例では多臓器障害(MODS)に進展しやすく、SOFAスコアやqSOFAスコアによる重症度評価が推奨される。抗菌薬は感染源推定に基づき速やかに投与し、感染巣のコントロールも必須となる。