放射線肺炎
概要
放射線肺炎は、胸部への放射線治療後に発症する非感染性の肺炎であり、主にがん治療の合併症としてみられる。照射範囲に一致した炎症性の肺障害が特徴で、重症例では呼吸不全に至ることもある。
要点
- 胸部放射線治療後に発症する非感染性肺炎
- 咳嗽、発熱、呼吸困難などの症状が出現
- 画像で照射野に一致した浸潤影を認める
病態・原因
放射線による肺実質の直接的障害と、それに伴う炎症性サイトカインの産生が主な病態である。リスク因子には高線量照射、広範囲照射、併用化学療法、高齢、基礎疾患の存在などが挙げられる。
主症状・身体所見
発熱、乾性咳嗽、呼吸困難が主症状である。聴診ではfine cracklesを認めることが多い。重症例では低酸素血症や呼吸不全を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線・CT | 照射範囲に一致したすりガラス影・浸潤影 | 境界明瞭な分布が特徴 |
| 血液検査 | CRP・LDH上昇、白血球増加 | 感染症との鑑別に有用 |
| 動脈血ガス | 低酸素血症 | 重症例や呼吸不全時に評価 |
画像所見は照射範囲に一致した陰影が特徴で、感染性肺炎や薬剤性肺炎との鑑別が重要となる。診断は臨床経過、画像、治療歴の総合判断による。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
- 補助療法:酸素投与、対症療法(咳止め、解熱剤など)
- 注意点:細菌感染合併の除外、早期治療開始が予後改善に重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性肺炎 | 発症時期、膿性痰、照射歴なし | 不規則な陰影、培養陽性 |
| 薬剤性肺炎 | 薬剤投与歴、全肺野に及ぶことも | 拡散性の陰影、薬剤歴 |
| 間質性肺炎 | 基礎疾患や自己免疫疾患の有無 | 両側性びまん性陰影 |
補足事項
放射線治療の進歩により発症率は減少傾向だが、化学療法併用例や高齢者では依然リスクが高い。慢性期には肺線維症へ移行する場合があるため、長期的な経過観察が重要である。