成人Still病
概要
成人Still病は、発熱、関節炎、皮疹を三徴とする原因不明の全身性炎症性疾患で、自己炎症性疾患の一つに分類される。若年性特発性関節炎の成人型と考えられており、全身症状のほか臓器障害を合併することがある。
要点
- 高熱、関節炎、サーモンピンク疹が特徴的
- 血清フェリチン高値や肝機能障害を伴うことが多い
- マクロファージ活性化症候群など重篤な合併症に注意
病態・原因
発症機序は明確でないが、遺伝的素因と環境因子(感染症など)が関与し、サイトカイン(IL-1, IL-6, IL-18など)を介した全身性炎症反応が中心となる。自己免疫よりも自己炎症の機序が主とされる。
主症状・身体所見
39℃以上の高熱が1週間以上持続し、関節炎は多関節性で手関節や膝関節に多い。サーモンピンク色の一過性皮疹、咽頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、肝脾腫がみられる。しばしば肝機能障害や胸水・心膜炎も認める。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増多、CRP高値、フェリチン高値 | RF・抗CCP抗体は陰性 |
| 画像検査 | 関節エコー/レントゲンで関節炎所見 | 肝脾腫や胸水も評価 |
| 骨髄・リンパ節生検 | マクロファージ活性化の所見 | 合併症疑いで施行 |
Yamaguchi基準など臨床基準を用いて診断し、感染症や他の膠原病・悪性腫瘍を除外することが重要。フェリチン高値が診断の参考となる。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
- 補助療法:免疫抑制薬(メトトレキサート等)、生物学的製剤(IL-1, IL-6阻害薬)
- 注意点:感染症の除外・合併症(MAS)の早期発見と対処
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 関節リウマチ | 皮疹・高熱は目立たない | 抗CCP抗体・RF陽性 |
| 全身性エリテマトーデス | 多彩な臓器障害・特異的抗体 | 抗dsDNA抗体・低補体血症 |
| 血管炎 | 紫斑・多臓器血管障害 | ANCA陽性例が多い |
補足事項
マクロファージ活性化症候群(MAS)は致死的な合併症であり、急速な経過をとるため早期診断・治療が不可欠。近年は生物学的製剤の導入で治療成績が向上している。