慢性腎不全

概要

慢性腎不全は、腎臓の機能が不可逆的に低下し、体内の老廃物や水分、電解質の恒常性が維持できなくなる状態を指す。多くは慢性腎臓病(CKD)の進行によって発症し、最終的には透析や腎移植が必要となる。進行は緩徐であり、全身に多彩な合併症を引き起こす。

要点

  • 腎機能の不可逆的低下と尿毒症症状
  • 原因疾患の多様性と進行性
  • 透析・腎移植が根本治療となる

病態・原因

慢性腎不全は糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎など慢性腎疾患の進行によって発症する。糸球体や尿細管の障害が持続することで腎実質が不可逆的に破壊され、老廃物や水分・電解質の排泄障害をきたす。

主症状・身体所見

初期は無症状だが、進行すると倦怠感、食欲低下、悪心・嘔吐、浮腫、高血圧、貧血、皮膚掻痒感などが現れる。末期では尿毒症症状(意識障害、心膜炎、神経障害など)や全身性浮腫がみられる。

検査・診断

検査所見補足
血清クレアチニン・eGFR上昇・低下腎機能評価の基本指標
尿検査蛋白尿、血尿、比重低下原因疾患や進行度の評価に有用
血液電解質高カリウム血症、代謝性アシドーシス電解質異常の把握

腎機能低下が3か月以上持続し、eGFR <60 mL/min/1.73m²または腎障害の所見(蛋白尿など)が認められる場合に診断する。腎臓の萎縮や皮質髄質境界消失が画像でみられることも多い。

治療

  • 第一選択:原因疾患の治療と保存的腎臓療法(食事・薬物・血圧管理)
  • 補助療法:電解質異常・貧血・骨代謝異常への対症療法、適応に応じて透析・腎移植
  • 注意点:感染症予防、薬剤投与量調整、心血管合併症管理

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性腎障害数日〜数週で急激に腎機能低下腎サイズ正常・尿量急減
慢性腎臓病腎障害はあるが末期腎不全未満eGFR 60未満だが尿毒症症状なし
腎性貧血貧血が主症状、腎機能障害は軽度エリスロポエチン低下、腎機能軽度低下

補足事項

慢性腎不全の進行抑制には厳格な血圧・血糖管理や食事療法が重要である。近年はSGLT2阻害薬など新規薬剤の腎保護効果も注目されている。

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