多発性内分泌腺腫症1型

概要

多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)は、複数の内分泌臓器に腫瘍が発生する常染色体優性遺伝性疾患である。主に副甲状腺、膵内分泌腫瘍、下垂体腺腫が三大主徴で、その他にも副腎や皮膚などに腫瘍を認めることがある。MEN1遺伝子(menin遺伝子)の変異が原因となる。

要点

  • 副甲状腺機能亢進症、膵内分泌腫瘍、下垂体腺腫が三大主徴
  • MEN1遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患
  • 早期発見と多臓器の定期的スクリーニングが重要

病態・原因

MEN1はMEN1遺伝子(chromosome 11q13)の異常によって発症し、腫瘍抑制蛋白であるmeninの機能喪失により多臓器に腫瘍が生じる。家族歴が明らかなことも多く、遺伝性腫瘍症候群の代表である。

主症状・身体所見

副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症症状(多尿、口渇、腎結石)、膵内分泌腫瘍による低血糖や消化性潰瘍、下垂体腺腫によるホルモン異常(プロラクチン過剰、先端巨大症など)がみられる。皮膚腫瘍や副腎腫瘍を合併することもある。

検査・診断

検査所見補足
血清カルシウム・PTH高値副甲状腺機能亢進症の評価
ホルモン測定(インスリン、ガストリン、プロラクチンなど)異常高値膵・下垂体腫瘍の機能評価
画像検査(CT/MRI/エコー)腫瘍性病変の同定多臓器スクリーニング

MEN1の診断は、三大主徴のうち2つ以上の腫瘍性病変の存在、または家族歴と1主徴の存在で確定する。遺伝子診断も有用。画像所見では多発性腫瘍や多臓器病変が特徴的。

治療

  • 第一選択:各腫瘍ごとの外科的切除や薬物療法
  • 補助療法:ホルモン過剰症状への対症療法、定期的なスクリーニング
  • 注意点:家族歴のある場合は家族も遺伝子検査・経過観察を行う

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
多発性内分泌腺腫症2型甲状腺髄様癌・褐色細胞腫の合併RET遺伝子変異・甲状腺髄様癌
原発性副甲状腺機能亢進症単発性副甲状腺腺腫が多い家族歴や多発性腫瘍の有無

補足事項

早期発見と多臓器の定期的スクリーニングが予後改善に重要。家族性発症が多いため、遺伝カウンセリングも推奨される。膵内分泌腫瘍は悪性化しやすい点に注意。

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