原発性胆汁性胆管炎(肝硬変)
概要
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、主に中年女性に発症しやすい自己免疫性の胆管炎で、進行すると肝硬変に至る。胆汁うっ滞と慢性炎症が特徴で、肝内胆管の破壊が進行する。無症候性の経過例も多いが、進行例では黄疸や腹水などの肝硬変症状が出現する。
要点
- 自己免疫性胆管炎で胆汁うっ滞と肝硬変を来す
- 抗ミトコンドリア抗体(AMA)が高頻度で陽性
- 進行例では肝硬変に伴う合併症が問題となる
病態・原因
原発性胆汁性胆管炎は、自己免疫機序により肝内細胆管が慢性的に破壊されることで胆汁うっ滞が進行し、最終的に肝硬変に至る。発症には遺伝的素因や環境因子、女性ホルモンが関与するとされる。
主症状・身体所見
初期は無症状のことも多いが、進行すると全身の掻痒感や易疲労感が出現する。黄疸、皮膚の色素沈着、肝脾腫、腹水、浮腫、食道静脈瘤など肝硬変に伴う所見もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清抗ミトコンドリア抗体(AMA) | 陽性 | 特異度・感度ともに高い |
| 肝機能検査 | ALP・γ-GTP上昇、ビリルビン上昇 | 胆汁うっ滞型パターン |
| 腹部超音波・CT | 肝硬変所見、脾腫、胆管拡張なし | 肝内胆管の狭小化など |
| 肝生検 | 小葉間胆管消失、門脈域炎症 | 診断・進行度評価に有用 |
診断は臨床症状、血液検査(特にAMA陽性)、画像所見、肝生検所見を総合して行う。胆管拡張を認めないことが特徴。進行例では肝硬変の合併症(腹水、食道静脈瘤など)も評価する。
治療
- 第一選択:ウルソデオキシコール酸(UDCA)内服
- 補助療法:肝硬変管理(利尿薬、β遮断薬)、掻痒感対策、ビタミン補充
- 注意点:肝移植適応の検討、骨粗鬆症や脂溶性ビタミン欠乏の予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 原発性硬化性胆管炎 | 若年~中年男性、炎症性腸疾患合併 | MRCPで胆管の多発狭窄・拡張像 |
| 自己免疫性肝炎 | 高γグロブリン血症、ANA陽性 | 肝組織で形質細胞浸潤、AMA陰性 |
| ウイルス性肝炎 | ウイルスマーカー陽性 | HBV/HCV抗体陽性、胆汁うっ滞は軽度 |
補足事項
PBCは近年「原発性胆汁性胆管炎」と名称変更された。進行例では肝移植以外に根本的治療はなく、早期発見・治療が重要。合併する自己免疫疾患(Sjögren症候群など)にも注意する。