化膿性腱鞘炎

概要

化膿性腱鞘炎は、手指の屈筋腱鞘内に細菌感染が生じ、急性の炎症と膿瘍形成をきたす疾患である。主に外傷を契機に発症し、迅速な診断と治療が重要となる。治療が遅れると腱断裂や可動域制限など重篤な後遺症を残すことがある。

要点

  • 手指屈筋腱鞘への細菌感染による急性炎症
  • 早期診断・治療が予後を左右する
  • 放置すると腱断裂や機能障害のリスク

病態・原因

多くは手指の小外傷や穿刺創から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、腱鞘内に感染が波及することで発症する。免疫力低下や糖尿病などがリスク因子となる場合もある。

主症状・身体所見

患指の腫脹、発赤、熱感、激しい疼痛、屈曲位保持(Kanavel徴候)が特徴的である。指の自発痛や他動時痛、腱鞘部の圧痛が強い。

検査・診断

検査所見補足
血液検査白血球増多、CRP上昇炎症反応の指標
画像検査(超音波・MRI)腱鞘内液体貯留、腫脹超音波で膿瘍や腱断裂の評価
細菌培養膿から病原菌検出起炎菌の同定に有用

Kanavel徴候(屈曲位保持、腫脹、圧痛、他動時痛)は診断の重要な臨床所見である。画像検査で腱鞘内の膿や腫脹を確認する。

治療

  • 第一選択:緊急切開排膿・洗浄+抗菌薬投与
  • 補助療法:患指の安静・挙上、適切な鎮痛、リハビリテーション
  • 注意点:治療遅延による腱断裂や可動域障害予防が重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
蜂窩織炎腱鞘に限局せず皮下組織全体が腫脹Kanavel徴候なし、腱鞘内液体貯留なし
化膿性関節炎関節部の腫脹・可動域制限が主体画像で関節腔内液体貯留

補足事項

診断・治療が遅れると不可逆的な腱損傷や指機能障害を生じるため、早期の整形外科的介入が推奨される。抗菌薬は起炎菌の同定後に感受性に応じて調整する。

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