動揺胸郭

概要

動揺胸郭は、複数の隣接する肋骨骨折により胸郭の一部が胸壁から遊離し、呼吸時にその部分が異常な動きを示す外傷性疾患である。重度の胸部外傷に合併しやすく、呼吸不全や生命予後に重大な影響を及ぼす。

要点

  • 複数肋骨骨折による胸壁の遊離と異常運動が特徴
  • 呼吸困難や低酸素血症を高頻度に伴う
  • 迅速な呼吸管理と全身管理が予後を左右する

病態・原因

主に高エネルギー外傷(交通事故、転落、直達外力)によって隣接する複数肋骨が二箇所以上骨折し、胸郭の一部が胸壁から分離される。これにより胸壁の構造的支持が失われ、呼吸運動に同調しない「動揺部」が生じる。

主症状・身体所見

奇異呼吸(吸気時に動揺部が陥没、呼気時に突出)、強い胸痛、呼吸困難、頻呼吸、低酸素血症がみられる。重症例ではショックや意識障害を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
胸部X線隣接する複数肋骨の骨折遊離した胸郭部分を確認
胸部CT骨折部位・範囲・合併損傷の詳細評価肺挫傷や血胸・気胸の合併も評価

診断は身体診察での奇異呼吸と画像検査による複数肋骨骨折の確認による。胸部CTは合併損傷(肺挫傷、血胸、気胸など)のスクリーニングにも有用。

治療

  • 第一選択:酸素投与・気道確保・鎮痛・呼吸補助(必要時人工呼吸管理)
  • 補助療法:胸腔ドレナージ(血胸・気胸合併時)、理学療法
  • 注意点:早期の呼吸管理・全身状態のモニタリング、二次損傷や感染予防

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肋骨骨折奇異呼吸なし、局所痛のみ単発骨折、胸壁の動揺なし
肺挫傷呼吸音減弱、皮下気腫画像で肺実質の損傷像

補足事項

高率に肺挫傷や血胸・気胸を合併し、呼吸不全のリスクが高い。早期の全身管理と呼吸補助が重要であり、重症例では外科的固定術が適応となる場合もある。

関連疾患