停留精巣

概要

停留精巣は、出生時または乳児期に精巣が陰嚢内に下降していない状態を指す先天異常である。男児の約1〜3%に認められ、自然降下しない場合は将来的な不妊や悪性腫瘍のリスクが増加する。

要点

  • 精巣が陰嚢内に存在しない先天異常
  • 不妊や精巣腫瘍のリスク因子となる
  • 1歳までに自然降下しなければ治療適応

病態・原因

胎児期の精巣下降障害が主因であり、ホルモン異常や解剖学的異常、未熟児での発症頻度が高い。母体の内分泌環境や遺伝的要素も関与する。

主症状・身体所見

陰嚢内に片側または両側の精巣が触知できず、鼠径部や腹腔内に精巣が存在することが多い。無症候性だが、成長に伴い精巣の萎縮や二次的な合併症が生じる場合がある。

検査・診断

検査所見補足
触診陰嚢内に精巣を触知できない鼠径部や腹腔内を確認
超音波検査精巣の位置を同定非触知例で有用
MRI/CT腹腔内精巣の精査超音波で不明時に追加

診断は主に身体所見と画像検査による。1歳以降も陰嚢内に精巣が認められない場合に確定診断とする。画像所見では精巣の位置や大きさ、合併奇形の有無を評価する。

治療

  • 第一選択:1歳以降も下降しない場合は手術(精巣固定術)
  • 補助療法:ホルモン療法(hCGなど)を一部症例で考慮
  • 注意点:早期治療で将来的な不妊・腫瘍リスク低減を図る

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
精巣捻転症急性発症の疼痛・腫脹超音波で血流低下
陰嚢水腫透光性あり、無痛性腫脹透光試験陽性、超音波で液体貯留

補足事項

両側性停留精巣や腹腔内精巣は特に悪性化リスクが高いため、早期の専門医受診が推奨される。近年は低侵襲手術や腹腔鏡下手術の適応も拡大している。

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