低脂血症
概要
低脂血症は血中の脂質(主にコレステロールやトリグリセリド)が基準値より低下した状態を指す。先天性疾患や吸収不良、重篤な疾患、極端な栄養障害などが原因となる。無症状の場合も多いが、基礎疾患の指標となることがある。
要点
- 血中脂質(コレステロール、トリグリセリド)が異常低値
- 原因は先天性、二次性(栄養障害・吸収不良・重症疾患など)
- 無症状も多いが、基礎疾患の精査が重要
病態・原因
低脂血症は脂質の合成障害(先天性アベタリポプロテイン血症など)、腸管からの吸収障害(吸収不良症候群、蛋白漏出性胃腸症)、重篤な慢性疾患や栄養障害などが原因となる。肝疾患や甲状腺機能亢進症もリスク因子となる。
主症状・身体所見
多くは無症状で偶然に発見されるが、重症例では体重減少、成長障害、脂溶性ビタミン欠乏症状(夜盲、出血傾向、神経症状など)を伴うことがある。基礎疾患の症状が前面に出ることも多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清脂質検査 | 総コレステロール、LDL、HDL、TG低値 | 先天性疾患では著明な低値となる |
| 脂溶性ビタミン | ビタミンA、D、E、K低値 | 欠乏症の合併を示唆 |
| アポリポ蛋白 | ApoB低値、アベタリポプロテイン血症で著明 | 特殊な脂質代謝異常の診断に有用 |
血清脂質の著明な低下を認めた場合、先天性疾患の除外や吸収不良、重篤な慢性疾患の検索が必要となる。脂溶性ビタミンの欠乏や、アポリポ蛋白の測定も診断の参考となる。画像検査や遺伝子診断が必要な場合もある。
治療
- 第一選択:基礎疾患の治療(吸収不良や栄養障害の是正など)
- 補助療法:脂溶性ビタミン補充、栄養管理
- 注意点:原因疾患の見落とし防止、長期的な栄養状態のモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脂質異常症(高脂血症) | 血中脂質が高値、動脈硬化リスクが主体 | コレステロール、TG高値 |
| アベタリポプロテイン血症 | 先天性、脂溶性ビタミン欠乏が顕著 | ApoBほぼ消失、脂質極端に低値 |
| 吸収不良症候群 | 下痢や体重減少、栄養障害が目立つ | 脂質以外にも多様な栄養素低下 |
補足事項
低脂血症は単独疾患として扱われることは少なく、基礎疾患の指標となるため、原因検索と全身状態の把握が重要である。脂溶性ビタミン欠乏の早期発見と補充が予後改善に寄与する。