代謝性アルカローシス
概要
代謝性アルカローシスは、体内のpHが上昇しアルカリ側に傾く酸塩基平衡異常の一つ。主に過剰な胃液喪失や利尿薬使用、腎性原因などで生じる。血中重炭酸イオン(HCO₃⁻)の増加が特徴である。
要点
- 血中HCO₃⁻上昇とpH上昇が特徴
- 嘔吐や利尿薬、原発性アルドステロン症などが主な原因
- 低カリウム血症やテタニー症状を伴いやすい
病態・原因
代謝性アルカローシスは、胃液の喪失(嘔吐や胃管吸引)、利尿薬による尿中H⁺排泄増加、原発性アルドステロン症やCushing症候群などによる腎性H⁺喪失が主な原因である。体液の塩分・カリウム欠乏も発症リスクとなる。
主症状・身体所見
筋力低下、脱力、テタニー、痙攣、意識障害などがみられる。重症例では呼吸抑制や不整脈をきたすこともある。低カリウム血症や低カルシウム血症の症状を伴いやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 動脈血液ガス | pH上昇、HCO₃⁻上昇、PaCO₂代償性上昇 | 代謝性アルカローシスを示す |
| 血清電解質 | 低K⁺、低Cl⁻ | 原因検索や重症度評価に有用 |
| 尿中Cl⁻ | 低値または高値 | 原因(塩分依存性/非依存性)の鑑別 |
診断は動脈血液ガス分析でpH>7.45、HCO₃⁻>26 mEq/Lを認めることで確定する。尿中Cl⁻値は原因鑑別(嘔吐・利尿薬vs.原発性アルドステロン症など)に役立つ。
治療
- 原因除去(嘔吐・利尿薬中止、基礎疾患治療)
- 生理食塩水・カリウム補正
- 重症例では酸補充(希塩酸、塩化アンモニウム等)を考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 代謝性アシドーシス | pH低下、HCO₃⁻低下 | 血液ガスでpH・HCO₃⁻低値 |
| 呼吸性アルカローシス | 過換気、PaCO₂低下 | HCO₃⁻は正常〜軽度低下 |
補足事項
慢性アルカローシスでは腎でのHCO₃⁻排泄能が亢進し、補正困難となることがある。低カリウム血症の補正が重要であり、心電図モニターも推奨される。