乳酸アシドーシス

概要

乳酸アシドーシスは、血中乳酸が過剰に蓄積し、pHが低下する代謝性アシドーシスの一型である。組織低酸素やミトコンドリア機能障害、あるいは代謝異常により発症する。重篤な基礎疾患や薬剤性、敗血症、腎不全などが原因となることが多い。

要点

  • 血中乳酸の著明な上昇とアシドーシスを特徴とする
  • ショック、敗血症、腎不全、糖尿病治療薬(ビグアナイド系)などが主な原因
  • 早期診断と原因疾患の治療が予後を左右する

病態・原因

組織の酸素供給不足やミトコンドリア障害により嫌気的解糖が亢進し、乳酸が過剰に産生される。腎不全や肝不全による乳酸のクリアランス低下、ビグアナイド系薬剤や敗血症による代謝異常もリスク因子となる。

主症状・身体所見

過呼吸、意識障害、悪心・嘔吐、腹痛、低血圧、ショック症状などがみられる。重症例では多臓器不全を呈することもある。

検査・診断

検査所見補足
血中乳酸値高値(>5mmol/L)乳酸上昇が診断の中心
動脈血ガス分析代謝性アシドーシス(pH低下)アニオンギャップ増加を伴うことが多い
腎・肝機能検査異常を伴うことが多い原因検索や重症度評価に有用

乳酸アシドーシスの診断は、血中乳酸値の上昇(5mmol/L以上)と代謝性アシドーシス(pH<7.35)を確認する。アニオンギャップの増加や基礎疾患の検索も重要である。

治療

  • 第一選択:原因疾患の治療と循環動態の安定化
  • 補助療法:酸素投与、補液、重症例では血液浄化療法(透析)も考慮
  • 注意点:ビグアナイド系薬剤の中止、腎機能障害例での薬剤投与制限

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
糖尿病ケトアシドーシスケトン体増加、糖尿病既往ケトン体高値、乳酸は軽度上昇
呼吸性アシドーシス呼吸障害、CO₂貯留pCO₂高値、乳酸は上昇しない
代謝性アルカローシス嘔吐・利尿薬使用歴などpH上昇、乳酸は正常

補足事項

乳酸アシドーシスは重症疾患のマーカーであり、予後不良例が多い。特にビグアナイド系薬剤(メトホルミン)使用中の腎障害患者では発症リスクが高まるため注意が必要である。

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