乏精子症
概要
乏精子症は、精液中の精子数が正常値よりも減少している状態を指す。男性不妊症の主な原因の一つであり、精子の産生障害や輸送障害、全身性疾患や生活習慣など多様な要因が関与する。診断と治療には精液検査を中心とした包括的な評価が必要となる。
要点
- 精液中の精子数が基準値未満である
- 原因は内分泌異常、精巣障害、生活習慣など多岐
- 男性不妊症の主な要因の一つ
病態・原因
精子産生の障害(造精機能障害)、精管閉塞などの輸送障害、内分泌異常(下垂体・視床下部疾患)、遺伝的要因、薬剤や放射線、喫煙・肥満・ストレスなどの生活習慣が発症に関与する。精巣の熱障害や感染症もリスクとなる。
主症状・身体所見
自覚症状はほとんどなく、一般には不妊を契機に発見されることが多い。精巣の萎縮や精索静脈瘤、内分泌異常による女性化徴候などがみられることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 精液検査 | 精子濃度1500万/mL未満 | WHO基準に基づく評価 |
| ホルモン検査 | FSH・LH・テストステロン異常 | 内分泌性障害の鑑別 |
| 超音波検査 | 精巣萎縮・精索静脈瘤の有無 | 器質的異常の評価 |
精液検査は2回以上施行し、WHOの基準に従って診断する。必要に応じて染色体検査や遺伝子検査、精巣生検も行う。画像検査で器質的異常の有無を確認する。
治療
- 第一選択:原因に応じた治療(内分泌療法、精索静脈瘤手術、生活習慣改善)
- 補助療法:ビタミン・抗酸化剤投与、漢方薬、体外受精・顕微授精
- 注意点:基礎疾患の検索と治療、再発や進行性障害のモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 無精子症 | 精液中に精子が全く認められない | 精液検査で精子数ゼロ |
| 精索静脈瘤 | 陰嚢の静脈拡張、触診で怒張を認める | 超音波検査で静脈拡張 |
| 性腺機能低下症 | 二次性徴の発達不良、ホルモン低値 | ホルモン検査で異常値 |
補足事項
乏精子症は環境要因や生活習慣の影響も大きく、近年は環境ホルモンやストレス、肥満の関与も指摘されている。反復精液検査やパートナーの評価も重要である。