中毒性表皮壊死症

概要

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)は、主に薬剤が誘因となり全身の皮膚および粘膜に広範な表皮壊死と剥離を生じる重篤な急性疾患である。高熱や全身症状を伴い、生命予後にも大きく影響する。迅速な診断と治療介入が必要となる。

要点

  • 皮膚・粘膜の広範囲な壊死性剥離を特徴とする
  • 多くは薬剤が誘因、重篤な全身症状を伴う
  • 早期診断と支持療法が予後改善に重要

病態・原因

主な原因は薬剤(抗菌薬、抗てんかん薬、非ステロイド性抗炎症薬など)によるⅣ型アレルギー反応であり、免疫学的機序を介して表皮細胞のアポトーシスが誘導される。ウイルス感染やワクチン接種などもまれに誘因となる。

主症状・身体所見

発熱、咽頭痛、倦怠感などの全身症状に続き、紅斑や水疱、びらんが全身の皮膚および粘膜(口腔、眼、外陰部など)に急速に出現する。ニコルスキー現象(健常皮膚への摩擦で表皮が剥離する)が陽性となる。

検査・診断

検査所見補足
皮膚生検表皮壊死、表皮下水疱、真皮に軽度炎症細胞浸潤病理診断の決め手
血液検査炎症反応上昇、肝腎機能障害、電解質異常重症度評価に有用
眼科・耳鼻科結膜炎、角結膜障害、口腔・咽頭粘膜障害粘膜障害の評価

診断は臨床症状と病理組織所見に基づく。皮膚障害面積が体表面積の30%以上に及ぶ場合TENと分類される。薬剤歴の聴取も極めて重要である。

治療

  • 第一選択:原因薬剤の中止、集中治療管理
  • 補助療法:輸液・電解質管理、感染対策、創傷ケア、疼痛コントロール
  • 注意点:二次感染や多臓器不全の早期発見・対応

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Stevens-Johnson症候群皮膚障害面積が10%以下病理は類似、障害範囲で分類
壊死性筋膜炎皮下組織・筋膜の急速な壊死皮膚生検で筋膜壊死が主体
水疱性類天疱瘡高齢者、自己免疫性水疱免疫蛍光でIgG・C3沈着

補足事項

TENは死亡率が高いため、早期の専門施設への搬送と多職種による集学的治療が求められる。近年、免疫抑制薬や静注免疫グロブリン療法の有効性も報告されている。

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