不適合輸血
概要
不適合輸血は、血液型や抗原の不一致による輸血時に、免疫学的反応が生じる重篤な合併症である。主にABO式やRh式血液型の不適合が原因となり、急性溶血反応やショックを引き起こす可能性がある。迅速な対応が生命予後を左右する。
要点
- 血液型不一致による免疫反応が主因
- 急性溶血、ショック、多臓器不全のリスク
- 早期認識と輸血中止、支持療法が重要
病態・原因
ABO式やRh式を中心とした血液型不適合、その他の血液抗原(例:Kell、Duffyなど)による抗原抗体反応が主な機序である。リスク因子は、検査・照合ミスや既存抗体の存在などが挙げられる。抗体と輸血血液の抗原が反応し、補体活性化や溶血が生じる。
主症状・身体所見
発熱、悪寒、腰背部痛、呼吸困難、血尿、低血圧、ショックなどが急激に出現する。重症例では意識障害や多臓器不全に至ることもある。輸血中や直後の異常反応は本症を強く示唆する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 直接クームス試験 | 陽性 | 溶血の証明 |
| 血液生化学検査 | LDH・間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下 | 溶血性変化 |
| 尿検査 | ヘモグロビン尿 | 溶血による尿中排泄 |
| 血液型・交差適合試験 | 不一致が判明 | 輸血前後の再検査が必須 |
急性溶血性輸血副作用の診断は、臨床症状と検査所見(溶血マーカー、クームス試験陽性、血液型不一致の確認)から行う。画像診断は原則不要だが、重症例では臓器障害の評価目的で施行する場合がある。
治療
- 第一選択:輸血中止、ショック対応(輸液・昇圧薬)、酸素投与
- 補助療法:腎保護(利尿薬)、血管内溶血管理、必要時血漿交換
- 注意点:再発防止のため原因究明と再発防止策の徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 溶血性尿毒症症候群 | 血小板減少・腎障害が主体 | クームス試験陰性 |
| 輸血関連急性肺障害 | 呼吸困難・肺水腫が主体 | 溶血所見なし、胸部X線異常 |
| 敗血症 | 感染症状や菌血症が主体 | 血液培養陽性、溶血は伴わない |
補足事項
不適合輸血は医療過誤の最重篤例の一つであり、輸血管理体制の強化が必須である。近年は自動照合システムの導入による発生率低下が報告されているが、ヒューマンエラー防止策の継続が重要である。