マラリア
概要
マラリアは、ハマダラカ属蚊に媒介されるマラリア原虫(Plasmodium属)による寄生虫感染症で、熱帯・亜熱帯地域に分布する。周期的な発熱発作と貧血、脾腫を主徴とし、重症例では多臓器不全に至ることもある。世界的な公衆衛生上の課題である。
要点
- マラリア原虫感染により周期的な発熱発作を呈する
- 蚊媒介性感染症で流行地域への渡航歴が重要
- 重症化例では脳症や多臓器障害をきたす
病態・原因
マラリアはPlasmodium属(P. falciparum、P. vivaxなど)による赤血球内寄生虫感染症で、ハマダラカ属蚊の吸血によりヒトに伝播する。肝臓での無症候期を経て赤血球内で増殖し、溶血とサイトカイン放出が周期的な発熱発作を引き起こす。
主症状・身体所見
発熱(悪寒・発汗を伴う周期的発作)、頭痛、筋肉痛、倦怠感、貧血、脾腫が特徴的である。重症例では意識障害、呼吸促迫、黄疸、腎不全、出血傾向など多臓器障害を呈することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液塗抹(ギムザ染色) | 原虫の赤血球内寄生像 | 種の同定・寄生率評価に有用 |
| マラリア迅速診断キット | 抗原検出陽性 | 種の鑑別は困難な場合もある |
| 血液一般検査 | 貧血、血小板減少、LDH上昇など | 溶血性疾患の指標となる |
診断は血液塗抹標本での原虫検出が標準であり、迅速診断キットも補助的に用いられる。P. falciparumでは高い寄生率や多様な赤血球侵襲が特徴的。重症例では腎機能・肝機能・凝固系などの評価も重要となる。
治療
- 第一選択:アルテミシニン系薬剤(アルテメテル・アルテスネート)やクロロキン・メフロキン
- 補助療法:輸液、解熱、貧血対策、臓器管理
- 注意点:耐性株の流行地域では薬剤選択に留意、早期治療開始が予後改善に必須
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アメーバ赤痢 | 血便・下痢が主体、熱は非周期的 | 便検査で赤痢アメーバ検出 |
| デング熱 | 発熱・筋肉痛・皮疹が目立つ | 血液塗抹で原虫検出されない |
| 腸チフス | 比較的徐脈・バラ疹が特徴 | 血液培養でSalmonella検出 |
補足事項
マラリアは再発例や潜伏例もあり、P. vivax・P. ovaleでは肝臓内休眠型(ヒプノゾイト)からの再燃に注意が必要。耐性原虫の出現や予防内服の適応など、最新の疫学情報も確認することが望ましい。