ホモシスチン尿症
概要
ホモシスチン尿症は、メチオニン代謝経路の酵素欠損によりホモシスチンが蓄積し、尿中に排泄される常染色体劣性遺伝疾患である。全身の結合組織、骨、血管、神経系に障害をきたす。早期診断と治療により合併症予防が重要となる。
要点
- システイン合成経路の酵素異常によるアミノ酸代謝異常症
- 血管障害・骨格異常・精神発達遅滞・水晶体脱臼が特徴
- 早期診断・ビタミンB6投与や食事療法が治療の中心
病態・原因
主にシスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)活性低下によるメチオニン→システイン変換障害が原因となる。ホモシスチンやメチオニンが体内に蓄積し、血管内皮障害や結合組織異常を引き起こす。常染色体劣性遺伝形式をとる。
主症状・身体所見
幼児期から骨格異常(長身・くの字状脊柱・漏斗胸)、水晶体脱臼、精神発達遅滞、痙攣、血栓症(脳梗塞・心筋梗塞など)がみられる。Marfan症候群に類似した体型を呈することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中アミノ酸分析 | ホモシスチン・メチオニン高値、システイン低値 | 新生児マススクリーニング対応可 |
| 尿中ホモシスチン定量 | ホモシスチン排泄増加 | 尿検査でスクリーニング可能 |
| 遺伝子検査 | CBS遺伝子変異の同定 | 確定診断 |
血液・尿検査によるアミノ酸分析で診断し、確定には遺伝子検査を用いる。画像検査で骨格異常や脳梗塞の評価が行われる。
治療
- 第一選択:ピリドキシン(ビタミンB6)大量投与
- 補助療法:低メチオニン食、ベタイン、葉酸・ビタミンB12補充
- 注意点:血栓症予防、早期治療開始が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Marfan症候群 | 水晶体脱臼方向(上方)、血栓症少ない | ホモシスチン・メチオニン正常 |
| メープルシロップ尿症 | 甘い尿臭、乳児期発症、筋緊張低下 | 分岐鎖アミノ酸高値、ホモシスチン正常 |
補足事項
日本では新生児マススクリーニング対象疾患であり、早期発見が進んでいる。治療抵抗例では血漿交換や肝移植が考慮されることもある。