メープルシロップ尿症
概要
メープルシロップ尿症は分枝鎖アミノ酸の代謝異常による先天性疾患で、尿が甘い香りを呈することが特徴。新生児期から発症し、早期治療が重要となる。重症例では神経症状や致死的経過をとることがある。
要点
- 分枝鎖アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)の代謝障害
- 新生児期早期からの哺乳不良・嘔吐・けいれん
- 早期診断・代謝管理が生命予後を左右する
病態・原因
分枝鎖α-ケト酸脱水素酵素複合体の遺伝的欠損により、ロイシン・イソロイシン・バリンの代謝が障害される。これにより、これらアミノ酸や対応するケト酸が体内に蓄積し、神経毒性を発揮する。常染色体劣性遺伝形式をとる。
主症状・身体所見
新生児期より哺乳不良、嘔吐、嗜眠、けいれん、筋緊張低下などを認める。特有の甘い(メープルシロップ様)尿臭がみられる。進行例では昏睡や呼吸障害に至ることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中アミノ酸分析 | ロイシン・イソロイシン・バリン高値 | 新生児マススクリーニング |
| 尿有機酸分析 | 分枝鎖α-ケト酸の増加 | ガスクロマトグラフィー等 |
| 尿の臭い | 甘い(メープルシロップ様)臭 | 臨床的特徴 |
新生児マススクリーニングで発見されることが多い。確定診断には血中アミノ酸・尿有機酸分析が有用。脳MRIで高信号領域を認めることもある。
治療
- 第一選択:分枝鎖アミノ酸制限食、急性期は血液浄化療法
- 補助療法:高カロリー輸液、ビタミンB1投与(一部型で有効)
- 注意点:感染症やストレス時の代謝悪化予防、早期治療開始
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| フェニルケトン尿症 | 尿臭はカビ様、精神遅滞主体 | フェニルアラニン高値、分枝鎖アミノ酸正常 |
| ホモシスチン尿症 | レンズ脱臼、血栓傾向 | ホモシスチン・メチオニン高値 |
| ガラクトース血症 | 肝障害・白内障・敗血症 | ガラクトース・ガラクトース-1-リン酸高値 |
補足事項
早期診断・治療によって神経学的後遺症を予防できる。血液浄化療法や肝移植が適応される重症例もある。遺伝カウンセリングが重要。