フェニルケトン尿症

概要

フェニルケトン尿症は、先天的にフェニルアラニン水酸化酵素が欠損または低下することで、フェニルアラニンの代謝障害をきたす常染色体劣性遺伝疾患である。未治療の場合、知的障害や神経症状を呈するが、新生児マススクリーニングと早期治療で予後が大きく改善する。

要点

  • フェニルアラニン代謝異常による先天性疾患
  • 早期診断・食事療法で知的障害を予防可能
  • 新生児マススクリーニングで発見される

病態・原因

フェニルケトン尿症は、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の遺伝的欠損や機能低下により、フェニルアラニンがチロシンに変換されず体内に蓄積する。常染色体劣性遺伝形式をとり、PAH遺伝子の変異が主因である。

主症状・身体所見

治療しない場合、進行性の知的障害、発達遅滞、痙攣、湿疹、色素減少(皮膚・毛髪が薄くなる)、尿や体臭の異臭(ネズミ臭)が特徴的である。新生児期には無症状だが、数ヶ月で症状が出現する。

検査・診断

検査所見補足
新生児マススクリーニングフェニルアラニン高値Guthrie法やタンデムMS法で測定
血中アミノ酸分析フェニルアラニン:高値、チロシン:低値診断・重症度評価に有用
遺伝子検査PAH遺伝子変異検出診断確定・家族内発症リスク評価

新生児マススクリーニングでフェニルアラニン値が基準値以上の場合、確定診断のため血中アミノ酸分析や遺伝子検査を行う。頭部MRIで白質病変を認めることもある。

治療

  • 第一選択:低フェニルアラニン食(専用ミルクなどによる食事療法)
  • 補助療法:ビタミン・ミネラル補充、定期的な血中フェニルアラニン値のモニタリング
  • 注意点:妊娠時の管理、厳格な食事制限の継続、過度な制限による栄養障害に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
メープルシロップ尿症甘い尿臭、ケトアシドーシス、四肢緊張分岐鎖アミノ酸高値、フェニルアラニンは正常
ホモシスチン尿症水晶体脱臼、骨異常、血栓症ホモシステイン高値、尿中メチオニン増加
ガラクトース血症新生児期の黄疸・肝障害・白内障ガラクトース血中・尿中上昇、フェニルアラニン正常

補足事項

フェニルケトン尿症は新生児マススクリーニングの普及により早期発見・治療が可能となり、知的障害の発症はほぼ予防できる疾患となった。成人後も継続的なフォローと食事管理が推奨される。

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