ヒト免疫不全ウイルス感染症

概要

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は、HIVウイルスによって引き起こされる慢性感染症であり、免疫機能の低下を特徴とする。進行すると後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症し、日和見感染や悪性腫瘍のリスクが高まる。感染経路は主に性的接触、血液、母子感染である。

要点

  • HIVはCD4陽性T細胞を標的とし、免疫機能を低下させる
  • 進行するとAIDSを発症し、日和見感染や腫瘍が増加
  • 早期診断と抗ウイルス療法による管理が重要

病態・原因

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主にCD4陽性T細胞に感染し、免疫系を徐々に破壊する。感染経路は性的接触、血液曝露、母子感染などがある。ウイルス増殖により免疫不全が進行し、AIDS発症に至る。

主症状・身体所見

初期には無症状またはインフルエンザ様症状がみられることが多い。進行すると易感染性、発熱、体重減少、リンパ節腫脹、口腔カンジダ症、悪性腫瘍(カポジ肉腫など)が出現する。

検査・診断

検査所見補足
HIV抗体・抗原検査抗体・抗原陽性スクリーニングおよび確定診断に用いる
CD4陽性T細胞数減少免疫能の評価、AIDS診断基準に重要
HIV RNA定量ウイルス量上昇治療効果や予後判定に用いる

HIV感染の診断は抗体・抗原検査で行い、確定診断にはウエスタンブロット法や核酸増幅検査(NAT)が用いられる。AIDSの診断基準はCD4陽性T細胞数200/μL未満または指標疾患(日和見感染や特定の腫瘍)の出現である。

治療

  • 第一選択:多剤併用抗レトロウイルス療法(ART)
  • 補助療法:日和見感染予防、栄養管理、心理的サポート
  • 注意点:服薬アドヒアランス、薬剤耐性、感染拡大防止

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
後天性免疫不全症候群HIV感染が進行しCD4陽性T細胞著減AIDS指標疾患・CD4数低下
サイトメガロウイルス感染症日和見感染として発症、臓器特異的症状CMV抗体・抗原・PCR陽性
ニューモシスチス肺炎免疫不全患者で発症、呼吸器症状主体胸部画像でスリガラス陰影

補足事項

HIV感染症の治療は生涯継続が原則であり、治療中断はウイルス増殖と耐性化を招く。近年、早期診断と治療開始によりAIDS発症や死亡率は大きく低下している。感染予防教育や周囲への差別対策も重要な課題である。

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