抗HIV薬

概要

抗HIV薬はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に用いられる抗ウイルス薬の総称であり、ウイルスの複製を阻害する複数の薬剤クラスが存在する。多剤併用療法(ART)が標準治療で、HIVの増殖抑制とエイズ発症予防を目的とする。

要点

  • HIVの各増殖段階を標的とする複数の薬剤クラスがある
  • 多剤併用療法(ART)が治療の基本
  • 長期服用による副作用や薬剤耐性の問題がある

薬理作用・機序

抗HIV薬は、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬、エントリー阻害薬などに分類され、それぞれHIVのライフサイクルの異なる段階を阻害する。これによりウイルスの増殖や細胞内侵入を抑制する。

禁忌・副作用

重篤な肝障害や腎障害患者には慎重投与が必要であり、薬剤ごとに禁忌や相互作用が異なる。代表的な副作用には肝障害、腎障害、脂質異常、骨減少、消化器症状、皮疹、過敏反応などがある。

適応疾患

疾患薬理作用補足
ヒト免疫不全ウイルス感染症HIVの複製・侵入阻害多剤併用療法が標準
後天性免疫不全症候群HIV増殖抑制による免疫機能維持予防的投与も含む

抗HIV薬は主にヒト免疫不全ウイルス感染症およびその進行形である後天性免疫不全症候群(AIDS)に対して用いられる。HIV感染の早期から投与を開始し、ウイルス量の持続的抑制と免疫機能の維持を目指す。

薬品例

薬品名主に使われるケース
テノホビル/エムトリシタビン基本的な核酸系逆転写酵素阻害薬
ドルテグラビルインテグラーゼ阻害薬
ダルナビルプロテアーゼ阻害薬
ラルテグラビルインテグラーゼ阻害薬
エファビレンツ非核酸系逆転写酵素阻害薬

補足事項

近年は1日1回投与の配合剤や長時間作用型注射剤も登場し、服薬アドヒアランス向上や副作用軽減が進んでいる。薬剤耐性ウイルス出現への対策として、定期的なウイルス量・耐性検査が重要である。

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