コンパートメント症候群
概要
コンパートメント症候群は、四肢の筋区画(コンパートメント)内の圧上昇により血流障害が生じ、筋・神経組織が不可逆的に障害される急性疾患である。主に骨折や外傷後に発生し、早期診断と治療が不可欠となる。進行すると四肢の壊死や機能障害をきたす。
要点
- 四肢の筋区画内圧上昇による血流障害が本態
- 早期発見・迅速な減圧が予後を左右する
- 放置すると不可逆的な筋壊死・神経障害を生じる
病態・原因
骨折、打撲、挫滅傷、ギプス固定などにより筋区画内の圧が上昇し、毛細血管灌流圧が低下することで組織虚血が進行する。外傷や血腫、熱傷、再灌流障害なども原因となる。
主症状・身体所見
激しい持続的な疼痛、受動的伸展時痛、腫脹、緊満感、感覚異常、運動障害が特徴となる。末期には脈拍消失や蒼白もみられるが、早期診断には疼痛と伸展時痛が最重要である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 区画内圧測定 | 30mmHg以上で高値 | 臨床症状と併せて診断 |
| 血液検査 | CK・ミオグロビン上昇 | 横紋筋融解の合併を示唆 |
| 画像検査 | 腫脹・血腫・骨折の確認 | 補助的、主にX線やMRI |
診断は典型的な臨床症状と区画内圧測定(30mmHg以上、または拡張期血圧との差が30mmHg未満)を根拠に行う。画像検査は補助的であり、臨床的判断が最優先される。
治療
- 第一選択:早期の筋膜切開術(減圧手術)
- 補助療法:疼痛管理、水分・電解質管理、腎保護
- 注意点:ギプス・包帯の早期解除、遅延治療による壊死・機能障害予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 圧挫症候群 | 広範な筋損傷+腎障害 | CK・ミオグロビン尿 |
| 単純な四肢浮腫 | 疼痛・伸展時痛が乏しい | 区画内圧正常 |
| 深部静脈血栓症 | 腫脹・疼痛だが持続的激痛は少ない | 超音波で血栓確認 |
補足事項
小児や意識障害患者では症状が非典型となるため注意が必要。治療遅延によりVolkmann拘縮など不可逆的後遺症を残すことがある。横紋筋融解症や急性腎障害の合併にも留意する。