圧挫症候群

概要

圧挫症候群は、長時間にわたり筋肉が強い圧迫を受けることで横紋筋融解が生じ、筋細胞内成分が血中に流出し多臓器障害を引き起こす病態である。主に地震や事故などの外傷後に発生し、急性腎障害や高カリウム血症が致死的となりうる。適切な初期対応と全身管理が生命予後を左右する。

要点

  • 筋組織の壊死と横紋筋融解が根本病態
  • 高カリウム血症・急性腎障害が主な致死的合併症
  • 早期の輸液・腎保護が予後改善に直結

病態・原因

長時間の圧迫による筋組織の虚血・壊死により、細胞内カリウムやミオグロビン、リン酸などが血中に流出する。これにより高カリウム血症、ミオグロビン尿による急性腎障害、多臓器不全を来す。原因は地震災害や交通事故、長時間の圧迫状態などが多い。

主症状・身体所見

患部の腫脹・疼痛・皮膚変色がみられる。全身症状としては乏尿や無尿、意識障害、不整脈、ショックなどが現れる。尿が赤褐色になる場合があり、急性腎障害や高カリウム血症の徴候に注意が必要。

検査・診断

検査所見補足
血液検査CK値上昇、K・Cr・LDH上昇ミオグロビン血症も参考
尿検査ミオグロビン尿、蛋白尿赤褐色尿・腎障害の評価
血液ガス分析高カリウム血症、代謝性アシドーシス呼吸・循環動態の把握

診断は圧迫外傷の既往と臨床症状、CK・ミオグロビンの著明な上昇、尿所見などから行う。腎機能障害や高カリウム血症の有無を早期に把握することが重要で、重症例では全身状態のモニタリングが必須となる。

治療

  • 第一選択:大量輸液による腎保護と循環維持
  • 補助療法:高カリウム血症対策(グルコース・インスリン、Ca製剤)、利尿薬、血液浄化療法
  • 注意点:尿量・電解質管理、適切な疼痛・感染対策、腎不全進行時は速やかに透析導入

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
横紋筋融解症圧迫外傷の既往がない場合が多い圧挫歴の有無、原因
急性腎障害筋障害なく腎障害が主CK・ミオグロビン上昇なし
コンパートメント症候群局所の循環障害・神経障害が主腎障害・高K血症は通常軽度

補足事項

圧挫症候群は災害医療や外傷診療で極めて重要な病態であり、初期輸液のタイミングや量が予後を大きく左右する。腎障害の早期発見・管理、高カリウム血症の迅速な是正が死亡率低下に直結する。

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