アルミニウム脳症

概要

アルミニウム脳症は、主に慢性腎不全患者においてアルミニウムの体内蓄積により中枢神経系に障害が生じる疾患。透析療法中の患者で発症しやすく、認知機能障害や運動障害を呈する。アルミニウム含有薬剤や透析液が原因となることが多い。

要点

  • 慢性腎不全患者の透析中に発症しやすい
  • 認知症様症状や運動障害など多彩な神経症状を呈する
  • 予防にはアルミニウム曝露の管理が重要

病態・原因

アルミニウム脳症は、腎機能低下によりアルミニウムの排泄が障害され、体内に蓄積したアルミニウムが脳へ移行し神経細胞障害を引き起こすことで発症する。主なリスク因子はアルミニウム含有制酸薬やリン吸着薬の長期投与、アルミニウム混入透析液の使用である。

主症状・身体所見

進行性の認知機能障害、記憶障害、失語、運動失調、ミオクローヌス、痙攣、傾眠、精神症状などがみられる。進行すると昏睡に至ることもある。

検査・診断

検査所見補足
血中アルミニウム濃度上昇透析患者で20μg/L以上は異常
脳波徐波化、三相波非特異的だが診断の参考になる
MRI脳萎縮、白質病変進行例でみられるが特異的所見なし

血中アルミニウム値の上昇が診断の重要な指標となる。臨床症状と既往歴、アルミニウム曝露歴の確認も重要。脳画像では特異的変化は乏しい。

治療

  • 第一選択:アルミニウム曝露の中止・除去
  • 補助療法:デフェロキサミンによるキレート治療
  • 注意点:早期発見と曝露源の特定が不可欠

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肝性脳症肝疾患、羽ばたき振戦血中アンモニア高値、肝機能障害
尿毒症性脳症進行した腎不全、意識障害BUN・クレアチニン高値、アルミニウム正常
Wernicke脳症ビタミンB1欠乏、眼球運動障害ビタミンB1低値、MRIで特異的所見

補足事項

近年は透析液や薬剤の管理改善により発症頻度は減少傾向にあるが、腎不全患者では引き続き注意が必要。症状は不可逆的となることも多い。

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