牛海綿状脳症
概要
牛海綿状脳症(BSE)は、異常プリオン蛋白による牛の神経変性疾患であり、ヒトに伝播した場合は変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を引き起こす。プリオン病の一種で、感染牛由来の肉骨粉摂取が主な感染経路である。
要点
- 異常プリオン蛋白による伝播性神経変性疾患
- ヒトへの感染でvCJD発症リスク
- 牛肉由来食品の規制と監視が重要
病態・原因
異常プリオン蛋白(PrP^Sc)が正常プリオン蛋白(PrP^C)を変性させ連鎖的に蓄積、神経細胞死と脳組織の海綿状変性を生じる。主なリスク因子は感染牛由来肉骨粉の摂取で、牛から牛、人への感染が問題となる。
主症状・身体所見
発症牛では行動異常、運動失調、感覚過敏などの神経症状が進行性に現れる。ヒトに感染した場合は精神症状、認知障害、運動失調などが特徴的で、急速に進行する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 脳組織病理 | 海綿状変性、異常プリオン沈着 | 免疫組織化学染色で確認可能 |
| プリオン検出 | PrP^Scの検出 | ウエスタンブロット法等 |
確定診断は脳組織の病理学的検査による。生前診断は困難で、異常プリオン蛋白の検出が補助的に用いられる。画像所見は非特異的だが、MRIでびまん性脳萎縮などがみられる場合がある。
治療
- 第一選択:根本的治療法はなく、対症療法が中心
- 補助療法:支持療法、栄養管理、感染拡大防止策
- 注意点:感染牛由来製品の摂取回避と監視体制の強化
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Creutzfeldt-Jakob病 | 散発型は肉骨粉摂取歴なく発症 | プリオン型の違い |
| アルミニウム脳症 | 透析歴やアルミニウム曝露の有無 | 脳組織にアルミニウム沈着 |
補足事項
牛海綿状脳症は1980年代に英国で大流行し、食肉安全管理の強化契機となった。ヒトへの感染予防のため、牛肉製品や飼料の規制が国際的に徹底されている。