アスピリン様障害
概要
アスピリン様障害は、血小板の機能異常によって出血傾向を呈する先天性または後天性疾患である。主にアスピリンの薬理作用と類似した血小板機能障害を示し、トロンボキサンA2産生低下などが関与する。臨床的には軽度から中等度の出血症状を認めることが多い。
要点
- 血小板機能異常による出血傾向を示す
- アスピリン服用時と類似の血小板凝集障害
- 軽度〜中等度の出血症状が主体
病態・原因
血小板のアラキドン酸代謝経路障害やトロンボキサンA2産生低下が主な機序であり、先天性(遺伝性)と後天性(薬剤性など)がある。代表的な原因はCOX-1酵素の異常やアスピリンなどNSAIDsの服用である。
主症状・身体所見
鼻出血、歯肉出血、月経過多、皮下出血など軽度から中等度の出血症状が主で、関節内出血や筋肉内出血はまれ。外傷や手術時に出血傾向が顕在化することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 出血時間 | 延長 | 血小板数は正常で機能のみ障害 |
| 血小板凝集能検査 | アラキドン酸・コラーゲンで低下 | ADPやリストセチンでは正常 |
| トロンボキサンB2測定 | 低値 | アスピリン服用例と同様の所見 |
出血時間延長と血小板凝集能検査でアラキドン酸刺激時の凝集障害が診断のポイント。血小板数・凝固系検査(PT, APTT)は正常。家族歴や薬剤歴の確認も重要。
治療
- 第一選択:特異的治療法はなく、止血困難時は血小板輸血
- 補助療法:トラネキサム酸など抗線溶薬の使用
- 注意点:NSAIDsやアスピリンの投与回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| von Willebrand病 | 血小板機能+vWF活性低下 | vWF関連検査異常、APTT延長例あり |
| Bernard-Soulier症候群 | 巨大血小板・リストセチン凝集不良 | 血小板減少、リストセチン凝集低下 |
| Glanzmann病 | ADP・コラーゲンでも凝集不良 | 全凝集刺激剤で低下、血小板数正常 |
補足事項
アスピリン様障害は薬剤性の場合、原因薬剤の中止で可逆的に改善することが多い。重症例や手術時には血小板輸血が有効となる。軽症例では日常生活上の注意のみで経過観察されることも多い。