びまん性軸索損傷

概要

びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury, DAI)は、頭部外傷後に脳内の神経軸索が広範囲に損傷される外傷性脳損傷の一型である。主に強い加速度・減速度外力により発生し、意識障害が特徴的である。MRIなどの画像診断で微小出血や軸索損傷が確認される。

要点

  • 強い回転性外力による脳深部の広範な軸索損傷が特徴
  • 持続する意識障害や昏睡が主な臨床像
  • 画像診断(特にMRI)が診断の鍵となる

病態・原因

交通事故や高所からの転落など、急激な加速度変化や回転性外力によって脳が揺さぶられ、白質内の軸索が剪断力で損傷される。特に大脳半球、脳梁、中脳などで損傷しやすい。

主症状・身体所見

外傷直後からの意識障害が持続し、重症例では昏睡状態となる。局所神経症状は乏しく、脳幹反射の障害や異常姿勢を伴う場合がある。脳浮腫や自律神経障害を合併することもある。

検査・診断

検査所見補足
頭部CT軽度〜中等度のびまん性脳浮腫、微小出血初期では異常所見が乏しい場合も多い
頭部MRIT2*強調像やFLAIRで微小出血・白質損傷軸索損傷部位の描出に優れる
神経学的評価持続的意識障害Glasgow Coma Scaleで重症度評価

MRIはCTよりも軸索損傷の描出に優れ、T2*強調像で点状出血、FLAIRで白質病変が明瞭となる。臨床的には外傷直後からの意識障害の持続が診断の鍵である。

治療

  • 第一選択:脳浮腫や二次損傷の管理(頭蓋内圧管理、全身管理)
  • 補助療法:早期リハビリテーション、栄養管理、対症療法
  • 注意点:低酸素・低血圧の予防、感染症や合併症の管理

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
脳挫傷局所神経症状・画像で限局性病変CT/MRIで限局性高信号・出血巣
急性硬膜下血腫半球性の意識障害・片麻痺CTで三日月状血腫
急性脳内血腫突然の意識障害・局所症状CTで脳実質内の高吸収域

補足事項

小児や高齢者では症状が非典型的となる場合があり、初期CTで異常が見られないことも多い。重症例では植物状態や遷延性意識障害に移行することがある。

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