抗不整脈薬(Ⅳ群)
概要
L-型カルシウムチャネル遮断によって房室結節を中心とする移行期組織の伝導を抑制し、再入性や自動能亢進による上室性頻拍を制御する薬剤群。
主にベラパミル・ジルチアゼム(非ジヒドロピリジン系)が用いられ、Rate control と発作中断の双方に適応がある。
要点
- 房室結節伝導時間延長と不応期延長で上室性頻拍を抑制
- 心房細動/粗動の心拍数調節や発作性上室頻拍の停止に有効
- 徐脈・心不全増悪・薬剤間相互作用(CYP3A4阻害)に注意
薬理作用・機序
非ジヒドロピリジン系Ca²⁺チャネル遮断薬がL-型チャネルを阻害し、第0相立ち上がり速度と活動電位持続を短縮することで房室結節伝導を抑制。不応期延長がリエントリー回路を遮断し、EF依存性心拍数低下効果も示す。
禁忌・副作用
重度左室機能不全、陳旧性心筋梗塞に伴うEF低下、病的徐脈、WPW合併心房細動、β遮断薬併用時の高度徐脈は禁忌。副作用は徐脈、房室ブロック、血圧低下、心不全増悪、便秘、末梢浮腫など。ベラパミルはCYP3A4/P-gp阻害による薬物相互作用が多い。
適応疾患
| 疾患 | 薬理作用 | 補足 |
|---|---|---|
| 発作性上室頻拍 | 房室結節再入路遮断 | 静注で発作中断 |
| 心房細動・粗動 | 房室結節伝導抑制 | Rate control に有用 |
上室性頻拍に対して第一選択となり、WPWを除く心房細動の心拍数調節にも使用される。急性期静注は循環動態を観察しながら行い、慢性期は内服で管理する。
薬品例
| 薬品名 | 主に使われるケース |
|---|---|
| ベラパミル塩酸塩 | 発作性上室頻拍の急性期停止、慢性期再発予防 |
| ジルチアゼム塩酸塩 | 心房細動の心拍数コントロール、周術期頻拍管理 |
補足事項
β遮断薬との併用は相加的に徐脈や心房室ブロックを増強するため慎重投与。腎機能障害では血中濃度が上昇しやすく、用量調整が必要。心不全治療薬のSGLT2阻害薬やARNIとの併用データは限られ、個別症例で評価する。