ホスホジエステラーゼ(PDE)III阻害薬

概要

ホスホジエステラーゼ(PDE)III阻害薬は、心筋や血管平滑筋のcAMP分解を阻害することで、強心作用および血管拡張作用を示す薬剤群である。主に急性心不全や一部の不整脈治療に用いられる。短期間の静脈投与が中心で、慢性心不全には基本的に適応されない。

要点

  • cAMP分解阻害による陽性変力・血管拡張作用を発揮
  • 急性心不全や難治性心不全の補助療法に使用
  • 長期投与での安全性に課題があり慢性心不全には推奨されない

薬理作用・機序

PDE III阻害薬はホスホジエステラーゼIIIを阻害し、心筋および血管平滑筋細胞内のcAMP濃度を上昇させる。これにより心筋収縮力増強(陽性変力作用)と血管拡張作用がもたらされる。

禁忌・副作用

重篤な低血圧、閉塞性肥大型心筋症、重度の心室性不整脈患者には禁忌となる。副作用としては心室性不整脈、頻脈、血圧低下、肝機能障害などが報告されている。

適応疾患

疾患薬理作用補足
急性心不全強心・血管拡張他の治療抵抗例で補助使用
慢性心不全強心・血管拡張一時的な補助療法

PDE III阻害薬は主に急性心不全や慢性心不全の急性増悪時に、標準治療で効果不十分な場合や補助循環中の補助療法として用いられる。持続的な強心作用と血管拡張作用が特徴であるが、長期投与は推奨されない。

薬品例

薬品名主に使われるケース
ミルリノン急性心不全、補助循環下
オルプリノン急性心不全、心原性ショック

補足事項

PDE III阻害薬はβ遮断薬やACE阻害薬と異なり、慢性心不全への長期投与で死亡率増加の報告があるため、短期間の使用に限定される。投与中は心電図や血圧、肝機能のモニタリングが重要である。

関連疾患