鉄剤
概要
鉄剤は鉄欠乏状態の補正を目的とした薬剤であり、主に鉄欠乏性貧血の治療に用いられる。経口剤と注射剤が存在し、鉄の補給により造血機能を改善する。日本では多くの鉄剤が医療現場で使用されている。
要点
- 鉄欠乏性貧血の第一選択治療薬である
- 経口投与が基本だが、吸収障害時は注射剤も用いる
- 過剰投与や副作用に注意が必要
薬理作用・機序
鉄剤は体内の鉄分を補給し、ヘモグロビン合成を促進することで貧血を改善する。経口投与された鉄は主に十二指腸や上部小腸で吸収され、トランスフェリンにより運搬される。
禁忌・副作用
鉄過剰症(ヘモクロマトーシスなど)や鉄利用障害(鉄芽球性貧血など)には禁忌。主な副作用は消化器症状(悪心、嘔吐、腹痛、便秘、下痢)であり、まれにアレルギー反応や注射剤によるショックも報告されている。
適応疾患
| 疾患 | 薬理作用 | 補足 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | 鉄補給による造血促進 | 最も代表的 |
| 慢性炎症による二次性貧血 | 鉄補給による貧血改善 | 原因精査必須 |
鉄剤は主に鉄欠乏性貧血に用いられ、慢性出血や吸収障害、妊娠・授乳期など鉄需要増加時にも適応となる。慢性炎症や腎疾患など二次性貧血にも補助的に使用されるが、原因疾患の治療が優先される。
薬品例
| 薬品名 | 主に使われるケース |
|---|---|
| 硫酸鉄(フェロミア) | 鉄欠乏性貧血の経口治療 |
| フマル酸第一鉄 | 経口鉄補給 |
| クエン酸第一鉄ナトリウム(フェジン) | 注射による鉄補給 |
補足事項
鉄剤服用時はビタミンC併用で吸収が促進されるが、制酸薬や一部食品(お茶・牛乳)は吸収を阻害する。注射剤はアナフィラキシーのリスクがあるため慎重投与が必要。定期的な血液検査で過剰投与を防ぐ。