抗不整脈薬(Ⅱ群)
概要
交感神経β受容体を遮断して洞結節・房室結節の自動能と伝導を抑制し、頻拍性不整脈を制御する薬剤群。
Rate control と再発抑制を目的に広く用いられ、急性期から慢性期まで適応がある。
要点
- β受容体遮断で心拍数と活動電位第4相傾きを低下
- 洞性頻脈・上室性/心室性頻拍の第一選択薬
- 気管支喘息・重度心不全などに禁忌、徐脈・低血圧に注意
薬理作用・機序
主にβ1受容体(薬剤によりβ2も)を遮断し、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制してcAMP濃度を低下させる。これによりCa²⁺流入が減少し、洞結節・房室結節の興奮性と伝導速度が低下、活動電位第4相が平坦化して自動能が抑制される。
禁忌・副作用
重度心不全、徐脈性不整脈、房室ブロック、気管支喘息は原則禁忌。副作用として徐脈、低血圧、心不全悪化、気管支けいれん、抑うつ・悪夢など中枢症状が報告される。
適応疾患
| 疾患 | 薬理作用 | 補足 |
|---|---|---|
| 心房細動/粗動 | 房室結節伝導抑制 | Rate control に有用 |
| 発作性上室頻拍 | 洞結節・リエントリー抑制 | 頻脈発作の急性期制御 |
| 心室頻拍・心室期外収縮 | 自動能低下 | 循環動態安定例で使用 |
房室結節依存性の上室性頻拍から、自動能亢進型の心室期外収縮まで幅広く適応されるが、急性心筋梗塞後や低EF例では投与条件に留意する。
薬品例
| 薬品名 | 主に使われるケース |
|---|---|
| プロプラノロール | 慢性心房細動の頻拍抑制、狭心症合併例 |
| ビソプロロール | 慢性心不全合併心房細動の長期管理 |
| ランジオール | 周術期・ICUでの急性頻拍コントロール |
| エスモロール | 心房粗動・上室頻拍の急性期静注 |
補足事項
心不全患者では用量を漸増しながら投与し、EF低下を伴う場合はカルベジロールなどのβ1/β2/α1遮断薬を選択することも多い。突然中止によりリバウンド性頻脈や狭心症悪化が起こり得るため、漸減が原則。