顔面神経麻痺
概要
顔面神経麻痺は、顔面神経(第VII脳神経)の障害によって顔面の筋肉の運動が低下または消失する状態を指す。原因は特発性(ベル麻痺)やウイルス感染、外傷、腫瘍など多岐にわたる。片側性が多く、急性発症が特徴的である。
要点
- 顔面筋の運動障害が主症状で、片側性が多い
- 特発性(ベル麻痺)が最多でウイルス再活性化が関与
- 早期治療で予後改善、鑑別には中枢性麻痺の除外が重要
病態・原因
顔面神経麻痺は顔面神経の炎症、圧迫、損傷などによって生じる。ベル麻痺では単純ヘルペスウイルスの再活性化が関与することが多い。他に外傷、腫瘍、耳科疾患、中枢神経疾患なども原因となる。
主症状・身体所見
突然の片側顔面筋麻痺が典型で、額のしわ寄せ・閉眼・口角挙上が困難となる。味覚障害、流涙、聴覚過敏を伴うこともある。中枢性との鑑別には額の運動障害の有無が重要。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 神経学的診察 | 顔面筋の運動障害、額運動障害 | 末梢性麻痺の特徴を確認 |
| 画像検査(MRI/CT) | 脳・耳周囲の異常の有無 | 中枢性・腫瘍性の除外 |
| 血液検査 | ウイルス抗体価上昇 | HSV、VZVなどの感染評価 |
診断は臨床症状と神経学的所見が中心。中枢性麻痺や腫瘍、外傷など他の原因疾患を除外するために画像検査が重要。ウイルス感染が疑われる場合は血清学的検査も参考となる。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイドの早期投与
- 補助療法:抗ウイルス薬(疑われる場合)、理学療法、眼保護
- 注意点:早期治療開始が予後改善に重要、角膜障害予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脳卒中 | 額の運動は保たれる | 画像で脳血管障害 |
| Ramsay-Hunt症候群 | 耳介・外耳道の水疱、難聴 | VZV抗体価上昇 |
| ギラン・バレー症候群 | 四肢筋力低下も伴う | 末梢神経伝導検査 |
補足事項
顔面神経麻痺の予後は原因や重症度によって異なり、早期治療により多くが回復する。ベル麻痺は再発することがあり、再発例や治療抵抗例では他疾患の精査が必要となる。